『居心地の悪い部屋』
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居心地の悪い部屋 [著]ブライアン・エヴンソン他[編訳]岸本佐知子
[レビュアー] 瀧井朝世(ライター)
英米文学の名訳者にして最近はアンソロジストとしても人気の岸本氏による、読めばなんだか居心地が悪くなること間違いなしの、ダークなテイストの作品を集めた短篇集。
アンナ・カヴァンの「あざ」は、寄宿学校時代に妙に惹かれた女生徒がいたという思い出が、後半の旅先で訪れた城で目撃した驚愕の出来事と結びつく。レイ・ヴクサヴィッチの「ささやき」は、ケンカ別れした女性からイビキがうるさかったと指摘された男が、自分が寝ている間の様子を録音してみることに。するとテープには奇妙なささやき声が……。
不安を駆り立てる話ばかりだが、そのスパイシーな味が病みつきになる。