【児童書】『子うさぎジャックとひとりぼっちのかかし』 寒い冬の夜に子供と一緒に

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【児童書】『子うさぎジャックとひとりぼっちのかかし』 寒い冬の夜に子供と一緒に

[レビュアー] 加納裕子

 畑に立っているかかし。動物たちに作物が食べられないように見張るのが仕事だけれど、ひとりぼっちは悲しくて、「また来てくれるといいなあ」なんて動物たちを待っている。

 冬の初め、子うさぎのジャックは家族と一緒にキャベツを食べるため、畑に出かけた。かかしを見て、おばさんうさぎは「なんだかいやだわ」。でもジャックは、かかしがやさしい目をしていることに気付く。

 何日かして、ジャックは子リスのビリー、もぐらの子のチャーリーと一緒に、またキャベツ畑へ。夢中でキャベツを食べている間に、空は急に黒い雲で覆われ、雪が降ってきた。こわがりのチャーリーは「いますぐ、おうちにかえりたいよう!」。けれど、暗くて帰り道が分からない。激しい吹雪の中、かかしは何か言いたそうにして…。

 寒い冬の夜に子供と一緒に読むにはぴったりの絵本。柔らかいタッチのイラストとさりげない文章から、自分では動けないかかしのやさしい気持ちが痛いほど伝わってくる。(バーナデット・ワッツ作・絵、福本友美子訳/徳間書店・1600円+税)

産経新聞
2016年1月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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