女優の杏「人を苦しめる才能が作家には必要なんです」 作家の残酷性について語る

テレビ・ラジオで取り上げられた本

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 女優の杏さん(29)が2月14日、J-WAVE「BOOK BAR」のなかで「人を苦しめる才能が作家には必要なんです」と作家の残酷性について持論を語った。

 番組で杏さんは第153回直木賞候補にもなった澤田瞳子さんの『若冲』(文藝春秋)を取り上げた。天才画家伊藤若冲の生涯をフィクションとノンフィクションを織り交ぜながら、連作短編で描き上げた同作について杏さんは、「読みやすいが、苦しい作品。小説の嘘を盛り込みながら破綻なく完璧な物語をつくりあげている」と絶賛した。

 最近コンピュータ相手に将棋をやっているという杏さん。そこで感じたのは、将棋は相手が何をしたら嫌がるかを考えないといけない、それが自分にはできない、と告白。純粋アピールじゃないですよ、と断りを入れながら、想像することが難しいのだという。映画やドラマの脚本も書く人は登場人物全員に愛着がある。しかし誰かが苦しんで嫌な思いをして、それを消化してようやく物語になる。幸せばかりでは物語にならない。愛するキャラクターを千尋の谷に突き落とすような残酷性が作家には必要なんだな、と同作を読んで感じたと語った。

 また夫の東出昌大さんとは将棋の腕前のレベルが違いすぎていっしょにはやっていないとも明かした。

 J-WAVE「BOOK BAR」(毎週日曜0時~1時)はナビゲーターの大倉眞一郎さんと杏さんが、それぞれ毎週一冊の本を紹介するラジオ番組。今週大倉さんは痴漢冤罪を題材とした小説『白日の鴉』福澤徹三[著](光文社)を紹介した。いつも電車では痴漢の疑いをかけられないように手を挙げて乗るという大倉さん。「ひさしぶりに主人公を自分に置き換えて、手に汗握りながら読んだ。怖いわ、これは」と冤罪で捕まった主人公の孤独な戦いに恐怖したという。

 またコーナーゲストの吉田豪さんが、おすすめのタレント本として『洋子へ』長門裕之[著](データハウス)を紹介。千駄木の往来堂書店店長・笈入建志さんが『介護民俗学へようこそ! 「すまいるほーむ」の物語』六車由実[著](新潮社)を紹介した。介護民俗学とは施設にくるお年寄りの話を、人生の先輩としてよく聞こうという新しい介護の形。それによりお年寄りもスタッフも豊かな感情を取り戻してゆくという。杏さんは「いましか聞けない老人のお話がありますよね」と同書を勧めた。

 来週は命日に合わせ司馬遼太郎を特集する。

Book Bang編集部
2016年2月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ニュース