「武田信玄は“リア充”上杉謙信は“プラトニック”」歴史学者が解説 林修先生の偉業「15日連続合コン」も飛び出す

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 東京大学史料編纂所教授、本郷和人さん(55)が2月18日に放送された「林修・世界の名著」に出演し、『天と地と』海音寺潮五郎[著](文藝春秋)を紹介した。『天と地と』は戦国時代の武将・上杉謙信が稀代の名将へと成長し、武田信玄と死闘を繰り広げるまでの半生を描きだした傑作。映画やドラマにもなり、半世紀にわたり読み継がれている名著だ。

■謙信はプラトニック、信玄はリア充

 『天と地と』のなかで謙信は生涯女性と関係を持つことがなかったと描かれる。年上の女性に好かれ、愛の告白を受け、二人の間には何の障害も無かったにもかかわらず謙信はプラトニックを貫く。作者はそこに男のあるべき姿を描いていたと本郷さんは読んだ。男とはこういうものだ、やるべきことがあるときは女性との生活も犠牲にするものだ、と描かれる謙信の生きざまを見て、小中高と学生時代女性に縁のなかった本郷さんは、自分もこれでいいのだ、と納得していたと語った。

 一方信玄は「リア充」として描かれている。色を好み「人は石垣、人は城」との名言にもあるように、人を使うことに長けた信玄は、謙信とは対照的な人物として描かれる。本郷さんは、信玄が陽、謙信が陰、まさに天と地だ、と解説した。

 番組では本郷さんが大学に入っても「合コンってものに行ったことがない」と語ると、司会の林修先生(50)は「僕は15日連続で合コンをしてましたよ。初日、中日、千秋楽と」と、こちらも対照的な二人の生活が明らかとなった。

■史実とエピソードを積み上げ歴史をとらえる

 本郷さんは海音寺潮五郎は歴史のとらえ方が見事だと語る。海音寺は古文書や古い資料を自在に読みこみ、当時の天皇家や貴族たちの没落している様子を描き、読んでいるとこの時代が下剋上の世だったということが染み込んでくると解説した。林先生にこの本はどんな人にお勧めですか、と問われ、本郷さんは「歴史の奥深さを知りたい方」と答えた。最近では物事を簡単に簡便に知りたいという風潮があるが、腰を据えて努力して本と格闘すると、そこに大きな果実がある。脇役まで細かく描く海音寺小説を全て読み終わると、時代をどうとらえたらよいのか、その時代の全体像がわかる、と史実を丹念に調べ上げる歴史学者ならではの視点で同書を勧めた。

 林先生も「一つの時代がわかると現代を理解することにも繋がりますよね」と語った。

「林修・世界の名著」はBS-TBSにて毎週木曜日よる11:00から放送中。

Book Bang編集部
2016年2月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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