女優の杏 司馬遼太郎の読み方を提案「言っていいのか、怒られないかどきどきしながら……」

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(29)が2月21日に放送されたJ-WAVE「BOOK BAR」のなかで歴史小説の大家・司馬遼太郎の小説について大胆な読み方を提案した。

■大作は“美術館方式”で読もう

 この日の「BOOK BAR」は「司馬遼太郎を読む!」と題し、杏さんは『菜の花の沖』(文藝春秋)を紹介した。同作は司馬のキャリア後半に書かれた全6巻の大作。司馬が歴史上の人物で一番会いたかったと語っていた江戸後期の豪商・高田屋嘉兵衛を描いた名作だ。杏さんは司馬特有の「余談だが」で始まる大量の豆知識にも感心させられると語り、同作はその真骨頂で、5巻一冊がロシアの政治状況を描いて終わってしまうと解説。しかし主人公である高田屋嘉兵衛はまったく登場せず、「嘉兵衛は?」となってしまい、間を空けて読んでしまうとなかなか戻れなくなってしまい、読むのに苦心したと語った。

 誰もが長い小説を読むときにありがちなそんな苦労をした杏さんは「余談部分はぱーっと読んじゃって、物語部分に戻っちゃっていいんじゃないのか」と大作の読み方を提案。司馬遼太郎に関するシンポジウムや対談にも出演するほどの司馬ファンとして知られる杏さんの言葉ならば納得だが、杏さん自身は「言っちゃっていいのか、怒られないかどきどきしながら話してます」と謙遜した。またその方法を杏さんは美術館の見方を引き合いに出して説明した。「まず一回とりあえず最後まで見て、完走して、自分の興味のあるところをもう一度見に行く」と“美術館方式”で読むとよいと指南した。

■歴史小説はあくまでフィクション

 番組ナビゲーターの大倉眞一郎さんは司馬を「フィクションと史実の狭間の魔術師」と語り『翔ぶが如く』(文藝春秋)を紹介。大倉さんは、司馬は独自の「司馬史観」とも呼ばれる歴史認識があり、歴史家からは評価されていないと解説した。杏さんは「司馬史観という言葉に惑わされて、司馬から遠のいてしまう人がいるのではないか。『余談だが』の部分で(司馬の語る言葉が事実だと)信じてしまうことが多いけど、でもこれは小説じゃん」と司馬の歴史小説との向き合い方をレクチャー。大倉さんも「歴史は解釈。歴史小説にフィクションが入っていないものはない」と語った。二人はメディアに対するリテラシーと同じで「そこは気をつけなければいけないが、楽しんで読んで頂ければそれが一番ですね」と締めくくった。

 この日は同番組にしては珍しく、二人がそれぞれ追加で1冊ずつ司馬の本を紹介した。杏さんが『司馬遼太郎全仕事』(文藝春秋)、大倉さんが『この国のかたち』(文藝春秋)。

 またプロインタビュアーの吉田豪さんは『地球に落ちてしまった忍』坂上忍[著](小学館)を、八重洲ブックセンター本店の販売課リーダー平井真美さんが『まにまに』西加奈子[著](KADOKAWA)を紹介した。

 「BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

Book Bang編集部
2016年2月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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