ノーベル文学賞作家の代表作がついに復刊 『戦争は女の顔をしていない』

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 2015年ノーベル文学賞に輝いた作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』(群像社/岩波書店)が岩波書店より文庫化され再刊された。2008年に群像社より翻訳され出版されていたが、長らく品切れとなっていた名著だ。同書は第二次世界大戦に従軍した女性たち500名以上を取材し、それまで個人の胸の中にしまいこまれて誰の目にも触れることのなかった、女性から見た戦争体験を活写したドキュメンタリーだ。旧ソ連時代には検閲され、全てを世にだすこともかなわなかった戦争の真実が、体験した本人達の言葉により伝えられる。彼女は他にもアフガニスタンに侵攻したソ連兵士たちの声を集めた『アフガン帰還兵の証言 封印された真実』(日本経済新聞出版社)や、チェルノブイリの原子力発電所事故に遭遇した人々を取材した『チェルノブイリの祈り』(岩波書店)なども著している。

■女性が語る戦争の真実

 『戦争は女の顔をしていない』について、作家の高橋源一郎さん(65)は2月26日NHKラジオ第1の「すっぴん!」のコーナー「源ちゃんのゲンダイ国語」で取り上げ、同書に記された女性たちの体験を読み上げた。まったく会ったこともない自分とは関係のないドイツ兵を撃ち殺したことに衝撃を受けた女性狙撃手。彼女の母親は彼女の事を、怪我をして傷のついた身体で帰ってくるくらいならば、いっそ死んで欲しいと祈っていたという。死の間際の兵士に胸を見せてくれと言われた看護婦。彼女は走り去るも一時間後に戻ると兵士は死んでいた。ドイツ軍に包囲され声を上げられない状況で、自分の赤ん坊を殺す母親を仲間とともに黙って見守った女性など、どこを切り取っても悲劇的で胸の痛む告白ばかり。高橋さんは「どの戦争も悲惨なんだけど、女性という本来『命を作る立場』から全く正反対の立場にたったときに自分をなくしてしまう。アレクシエーヴィチも書いているが、人間は三日もあればそう変わってしまう。戦争の事を考えるのに特に今、重要な本だと思う」と語った。

 「すっぴん!」はNHKラジオ第1放送にて月曜から金曜8:05から日替わりのパーソナリティーで放送中。高橋源一郎さんは金曜日を担当している。

Book Bang編集部
2016年3月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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