たけし兄、北野大「本当に尊いことは人知れず良い事をするということ」日本人の“陰徳”について語る

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 淑徳大学人文学部表現学科教授の北野大さん(73)が3月3日に放送された「林修・世界の名著」に出演し、「グスコーブドリの伝記」宮沢賢治[著](『新編 風の又三郎』[新潮社]に収録)を紹介した。自分を犠牲にして世のために働く主人公に共感したと語り、日本人の美徳についても言及した。

■理系的視点から描かれた童話

「グスコーブドリの伝記」は架空の町イーハトーブを舞台に、成長を遂げる主人公ブドリの姿を著すとともに、自然の偉大さや厳しさを描いた名著だ。冷害により家族を失ったきこりのブドリが、火山局に勤めるようになり、飢饉を回避するため火山を人工的に噴火させることを決意する。そしてブドリは自身の命をかけて火山を噴火させ、冷害をくいとめる。自然科学の知識が巧みに織り込まれたこの作品を、北野さんは地球温暖化にまつわる学会誌で知ったという。1930年代、今から80年も前に賢治は二酸化炭素が温暖化の原因だときちんと理解しており、当時の日本の文壇では珍しい理系的な視点から書かれていた作品だ、と解説した。

■人知れず良い事をする「陰徳」

 そしてブドリの崇高な生き方に感銘を受けたと語る北野さん。物語の前半は科学的事実を元に描かれ、後半になると賢治のもう一つの側面、仏教徒としての考えがあらわれていると論を展開した。同作のなかで主人公の行動によって示される「陰徳」という考え方を紹介。「西洋でははっきりと自分が寄付をしたことなどを表に出すが、日本では違う。口に出さずに良いことをするのが本当の徳。本当に尊いことは人知れず人様に対して良い事をするということ。素晴らしい教えだと思う」と日本人の美徳についても語った。

 北野さんの主張は2014年に話題となったアメリカ発の「アイスバケツチャレンジ」という慈善運動に日本では賛否が巻き起こった事を思い起こさせる。そして数年前から日本にみられる匿名の「タイガーマスク運動」が日本人の胸を熱くさせ、そちらは誰にとっても「温かい出来事」として捉えられていたことが論の確かさを裏付けている。

 番組MCの林修先生(50)にこの本はどんな人に読んでほしいかと問われ、北野さんは「中学生とか高校生。社会に出たら人のために働く。働く意義はそういうことだとわかってほしい」と世のため人のために働くことの尊さを訴えた。

 「林修・世界の名著」はBS-TBSにて毎週木曜日よる11:00から放送中。

Book Bang編集部
2016年3月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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