『姉ちゃんの詩集』のポエマー姉(サマーさん)は今何をしているのか? NHKが追跡

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 3月18日のNHKラジオ第1「すっぴん!」で10年ほど前にネットで大きな話題となった『姉ちゃんの詩集』サマー[著](講談社)が紹介された。放送ではファンの誰もが気になっていた「サマーさん(ポエマー姉)」の現在の様子が明かされた。

■「2ちゃんねる」発の伝説の詩集

 同書は匿名掲示板「2ちゃんねる」への投稿が基になった一冊だ。中学生の弟が「姉ちゃんの自作詩集発見した」と、姉が書いた詩を無断で2ちゃんねるに投稿。その奔放で瑞々しい言葉の感覚がネット上で大きな話題となった。みるみるうちに支持が広がり、書籍化に至ったのが同詩集だ。出版されたのは2006年で10年ほど前。NHKラジオ第1は同番組の放送にあわせ、「姉ちゃん」であるサマーさんの現在を取材した。

■「ポエマー姉」の現在

 サマーさんは現在28歳。なんと今月ご結婚されたばかりだという。ご主人とは本の貸し借りを通じて知り合ったというから微笑ましい。お仕事は定職につくより色々な経験を重ねたいと考え、博物館の手伝い、ハーブティーの販売など色々なアルバイトをしており、現在は雀荘のウェイトレスをしているという。番組MCで作家の高橋源一郎さん(65)は「そういう人だよ、詩を読んでいてそう思う、普通の人ではないと思ったよ」とサマーさんの自由な印象を語った。

■フレッシュな詩

 番組ではサマーさんの詩を引用し何篇か紹介した。

〈弟〉

 弟が生まれたとき
 捨てようとしたそうです
 りょうあしをもって
 ゴミバコにいれようとしたそうな(私が弟を)
 いまはすきだけどたまに憎い

 高橋さんはサマーさんが小学生くらいの頃に書いたというこの詩を評し「こういうことを皆思うと思う。でも思ってもなかなか詩にしない。しかし言葉にすると見えなかったものが見えてくる。本当は誰もが詩を書いていいのに」と詩を書くことの自由さと効用を語った。また父親や弟を歌った詩などから家族を愛している事が伝わってくる、弟もお姉さんに恥をかかせてやろうというのではなく、よい詩をもっと皆に読んでもらいたいという気持ちだったと語り、その幸せそうな家族関係を賞賛した。

〈みつあみ〉

 みつあみの子が好きなんだって
 髪伸ばそうかな

 背が小さい子が好きなんだって
 アリでも観察してろ

 成長してきたサマーさんがすごく可愛い言葉を発したと思ったら、アリでも観察してろ、とばっさり。高橋さんは「気風がいい、かっこいい、これは素敵ですね」と喜んだ。

〈ふたりなら〉

 二人なら
 地獄も恐ろしくないのよ
 二人なら
 家賃は半々よ
 二人なら
 ご飯は二合よ
 二人なら
 毎日 退屈よ

 この詩に高橋さんは「深いねえ、この人生観に何歳で達したんだろう」と感心した。

■良いものも悪いものも広まりやすい「ネット」

 高橋さんはこの詩集の広まり方にインターネットの良い部分をみたという。若い人の感性で書かれた素晴らしい詩が、弟という協力者を得て、人に読まれた瞬間に爆発的に広まる。素敵なものがあったらあっという間に広まる時代。これは物を書く人間にとって良い時代になったと思う。ただし僻み、妬み、憎しみ、など悪いものもすぐに広まってしまうし、広まりやすい。でもこの詩のように良いものが広まるということがあるからネットの世界は悪いものじゃないなと思う、と語った。

「すっぴん!」はNHKラジオ第1放送にて月曜から金曜8:05から日替わりのパーソナリティーで放送中。高橋源一郎さんは金曜日を担当している。

Book Bang編集部
2016年3月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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