「大水滸伝」シリーズを書き終えた北方謙三 次回作の構想をTVで明かし宮崎美子大慌て

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 宮崎美子さん(57)が司会を務めるBS11の番組「宮崎美子のすずらん本屋堂」が4月1日最終回を迎えた。最終回のゲストは作家の北方謙三さん(68)。北方さんの最新作『岳飛伝 十六 戎旌の章』(集英社)を紹介するとともに、連載17年に及んだ北方文学の集大成、大水滸伝の魅力に迫った。またレギュラーコメンテーター陣が「これだけは言っておきたい」という一冊を紹介した。

■「大水滸伝」17年の軌跡

 北方さんの大水滸伝シリーズは17年という歳月をささげた偉業とも言える大作だ。1999年中国歴史小説『水滸伝』の連載を開始。梁山泊を築いた108人の男達の革命の物語を描いた。2006年から続編『楊令伝』の連載がはじまる。梁山泊の生き残り楊令を主人公に理想の国家造りに挑んだ。2011年から最終章『岳飛伝』に着手。梁山泊と戦った岳飛を主人公に、人間が生きることとはなにかを問い続けた。そして2016年連載はついに完結した。大水滸伝シリーズは累計1000万部に迫る勢いで、まさに北方文学の集大成、究極の男の生きざまを描いたシリーズだ。

■達人が語る筆が走る瞬間

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北方謙三さん

 北方さんは連載のはじまりから、その艱難に満ちた17年を振り返った。原稿用紙にして2万5千500枚に及んだ連載は、毎月の締め切りとの戦いだったという。毎月書きはじめるときは何も出てこず、真っ白な原稿用紙に向かう。そして2行、3行と書くうちに何かが回り出すという。「今気合い入れないと落とすよ」という体内時計の合図とともに筆が走り夢中になる。「そしてはっと気付くと150枚。そんな状態でした」と語った。書き終わり、最後のゲラ(印刷前の見本)が届くと「うまいなこれ、誰が書いたんだろう」という状態だったという。そんな無意識のうちに出る力が「潜在能力」だと述べ、潜在能力の下で「書けてしまった」小説のほうがはるかにいい、と達人だけが知り得る領域について語った。

■次回作は「テムジン」!!

 そして北方さんは水滸伝が楊令伝、岳飛伝とすすむなか物語のテーマも変わっていったと話した。宮崎さんは各登場人物の今後が気になると北方さんに尋ねながら、最後に「次回作の構想は……」とファンならば誰もが気になる質問を口にした。北方さんは「まだ公表してないんですよ、ですがここで公表しましょうか」と特大サプライズ。楊令の剣「吹毛剣」の行方がキーになるという。剣を手にした楊令の息子が北に追いやられ、蒙古で集落を作る。そこで生まれた子供に「吹毛剣」を渡す「その子どもがテムジンなんです」と大サービスをしたところで、宮崎さんが「や、やや、そこまでで!」と止めに入った。大水滸伝終了を嘆いていたファンにとっては、新たな壮大な物語の幕開けを予感させる嬉しいニュースで北方さんは番組の終了に華を添えた。

■4年間で3648冊を紹介した「すずらん本屋堂」

「すずらん本屋堂」はこの日で最終回。レギュラーコメンテイター全員が出演しそれぞれ最後の一冊を薦めた。

book『怨讐星域 I』梶尾真治[著](早川書房)、『ジェノサイド』高野和明[著](KADOKAWA)、『稲盛和夫の実学―経営と会計』稲盛和夫[著](日本経済新聞社)、『隠し剣 孤影抄』藤沢周平[著](文藝春秋)、『スメル男』原田宗典[著](講談社)

 劇団キャラメルボックス代表の成井豊さん(54)は『怨讐星域 I~III』梶尾真治[著](早川書房)を梶尾さんの最高傑作だと紹介。

 作家・脚本家のハセベバクシンオーさん(46)は『ジェノサイド』高野和明[著](KADOKAWA)を「どんでんがえしがいっぱいあってストーリーのさわりも言えない。読まないと損する」と紹介。

 公認会計士・作家の山田真哉さんは『稲盛和夫の実学―経営と会計』稲盛和夫[著](日本経済新聞社)をバブルから落ち込んだ日本を立て直した一冊だと紹介。

 時代劇研究家のペリー荻野さんは『隠し剣 孤影抄』藤沢周平[著](文藝春秋)を「最後にこういう展開だったのか!」とオチが感動的な短編だと紹介。

「本の雑誌」編集長の浜本茂さんは『スメル男』原田宗典[著](講談社)を恋愛や冒険もある切ない青春譚だと紹介。

 そしてエンディングでは番組で4年間に紹介した3648冊とゲストの作家陣を振り返り、宮崎さんが「もしこの中の何冊でもお手に取り、お読みになる機会が生まれていたとしたら『すずらん本屋堂』は役目を果たせてたのかな、お手伝いが出来てたのかな」と語った。そして最後は宮崎さんが山本周五郎の『雨あがる』(角川春樹事務所)を朗読し番組を終えた。

Book Bang編集部
2016年4月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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