中瀬ゆかり 中年ファミレス店長と美人女子高生の恋愛に「こんなありえない設定、でも……」

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 TOKYO MXの情報番組「5時に夢中!」の人気コーナー「中瀬親方のエンタメ番付 GW場所」が5月5日に放送された。同コーナーはエンタメ全般に造詣の深い、新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんが毎月感銘を受けたエンタメベスト3を発表するコーナー。今回中瀬さんが紹介したのは以下の三作。

関脇(第3位)漫画『恋は雨上がりのように』眉月じゅん[著](小学館)

 主人公は心に傷を負ったクールビューティな女子高生。彼女が恋をしたのはバイト先のファミレスで店長をしている冴えない中年男性。中瀬さんは「普通だったらこんなおっさんに若い美人の女の子はありえないという設定なんだけど、ものすごく恋心がリアルに描かれている」と解説。すれ違う二人の様子が恋の初期の切なさを思い起こさせ、「恋をはじめなきゃと思っている人が、“恋の素振り”ができる胸キュンの素敵な物語。続きがとても楽しみ」と評した。

大関(第2位)科学エッセイ『脳はなにげに不公平 パテカトルの万脳薬』池谷裕二[著](朝日新聞出版)

 著者の池谷裕二さんは脳科学者。「週刊朝日」の連載エッセイをまとめた一冊。中瀬さんは「連載をまとめたりすると出来不出来があったりするが、池上先生は最新の論文を毎日チェックしてそのなかで一番面白いものを毎週取り上げているので、脳科学本に目がない私が読んでも面白い」と絶賛。また「『脳科学に興味があるけど、どの本を読んだらいいのかな』って人が手に取るのにも最適。日常の中でへーっと感心するようなことが書かれていて、思わず人に話したくなる話題が満載」と気軽に読んで楽しめる一冊だと同書を薦めた。

横綱(第1位)小説『暗幕のゲルニカ』原田マハ[著](新潮社)

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『暗幕のゲルニカ』原田マハ[著](新潮社)

 原田マハ得意のアートを題材にした傑作サスペンス小説。反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。2003年アメリカによるイラク空爆前夜、パウエル米国務長官が記者会見を行った際、国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、暗幕によって隠されていた事実がある。なぜ暗幕が掛けられていたのか、その謎に大戦前夜のパリと現代のニューヨークを舞台に二人の女性が迫る。中瀬さんは「知的スリルに満ちた長編小説。小説でこんなに感動することがあるんだと教えてくれた原田さんにお礼が言いたい」とGW後半にお薦めの小説だと語った。

5時に夢中!」はTOKYO MXにて毎週月曜から金曜夕方5:00より放送中。木曜はメインMCにふかわりょう。アシスタントは上田まりえ。コメンテーターに岩井志麻子、中瀬ゆかり。

Book Bang編集部
2016年5月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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