女優の杏も舌鼓 新宿中村屋「恋と革命のインドカリー」その不思議な名前のワケとは

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。5月8日の放送で二人はノンフィクションと絵物語、全く違うタイプの2冊を紹介した。

■中村屋のカレーは「恋と革命の味」

 杏さんは「コンビニで手にとれる外交の歴史」と『中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義』中島岳志[著](白水社)を紹介した。同書はインド独立運動の指導者ラース・ビハーリー・ボースと、コンビニでも買えるカレーや中華まんで有名な「新宿中村屋」との繋がりを解説し、ボースの人生を通し世界とアジアの関係をも明らかにした傑作評伝だ。

 日本に亡命したボースは新宿の中村屋にかくまわれる。そこでボースは中村屋に「インドカリー」を出すことを提案、それが現在の中村屋のカレーの基となった。そしてボースは中村屋の娘と恋に落ちて結婚をし、日本での言論活動をはじめる。英米と闘いをはじめた日本と協力し、アジアとインドの独立のために働いたボースだが、理想と現実のギャップに苦悩する。ボースは葛藤の中、インドが独立を果たす約2年前に病に倒れ生涯を閉じた。

■カレーを食べながらの読書にぴったり?

 杏さんは「カレーという軽い切り口から深い深い歴史に潜って行ける」と同書を評した。また一人で中村屋を訪れ、カレーを頂いたこともあるという杏さんは「この本を読むと、あのボースさんのこの味か」と歴史を感じる事が出来て感慨深いと嬉しそうに語った。また「本とカレーは相性がいいですしね」と古本とカレーの街・神保町でよく見られる本を読みながらの「ながら食べ」を一人の時はしてしまうとも告白した。

■生まれ変わった御伽草子

 パーソナリティーの大倉さんは『[現代版]絵本 御伽草子 付喪神』町田康[著](講談社)を紹介した。同書は「御伽草子」の中の一作を作家の町田康さんが想像力を働かせ、新解釈で新しい文学として生まれ変わらせた作品。大倉さんは「物語は町田康ワールド全開で大人が楽しめる」と紹介。そして、絵本作家の石黒亜矢子さんの絵に、文字も緑に白に紫と様々な色づかいで「絵と装丁が何しろ素晴らしい」と絶賛した。

 またこの日のゲストで新訳版『風と共に去りぬ』(新潮社)が話題の翻訳家・鴻巣友季子さんが「噛めば噛むほど味が出る人生が描かれた本」として『のろい男 俳優・亀岡拓次』戌井昭人[著](文藝春秋)を紹介。千駄木の往来堂書店店長・笈入建志さんが『ライトハウス すくっと明治の灯台64基』藤岡洋保[解説]野口毅[写真](バナナブックス)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

Book Bang編集部
2016年5月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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