小林秀雄と人生を読む夕べ <その4> 文学を読む II『私小説論』(第3回/全6回)

イベント

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

日本の近代批評の創始者・確立者として大きな足跡を残した小林秀雄は、深い思索と歯切れのよい文章で“人生の教師”としても仰がれ慕われました。その小林秀雄の主要な作品を順次取り上げ、小林秀雄とともに人生を味わっていく集いです。

ご案内は、編集担当者として小林秀雄にじかに接していた新潮社の元編集者、池田雅延です。前半50分は各回の対象作品について池田がお話しします。後半40分は出席者全員での茶話会とし、毎回la kaguカフェがご用意するお茶とお菓子をお楽しみいただきます。池田が質問にお答えしたりしながら、座談の名手でもあった小林秀雄をより身近に感じるひとときを過ごします。

4月から始まった<その4>は「文学を読む」の第2幕です。ドストエフスキーといえば今日、日本でも1、2を争う人気作家ですが、そのドストエフスキーの真の読みどころを最初に日本人に教えたのは小林秀雄だった、と言っても過言ではありません。本シリーズ第1回で取りあげた「『罪と罰』について」以外にも、特に「私小説論」と「作家の顔」には、小林秀雄はどうしてここまでドストエフスキーが読めたかを知るうえでの大きなヒントがあります。

「私小説論」は小林秀雄の批評のなかでも最も読まれているものですが、私小説の概念をどう捉えるかで、その解釈を大きく間違うことになります。小林が論じる私小説とは、いわゆる日本における私小説=作家が自身の生活に基づき身辺の出来事や心境を綴ったもの、ではないのです。小林は「私小説」をどう考え、ドフトエフスキーの小説を論じたのか。ぜひご参加ください。 

■日時:2016/06/16(木) 18:50 – 20:30
■会場:la kagu(ラカグ)2F レクチャースペースsoko
▼チケット販売はこちら▼
http://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/017veey3q6j8.html

●小林秀雄と人生を読む夕べ<その4>――文学を読む2

*日程と取上げる作品 ( )内は新潮社刊「小林秀雄全作品」の所収巻

2016年04月21日 「罪と罰」について I(5)・同II(16)<終了>
2016年05月19日 テスト氏(6)<終了>
2016年06月16日 私小説論(6) 
2016年07月21日 作家の顔(7) 
2016年08月25日(予定) 菊池寛論(9)
2016年09月15日 読書について(11)

☆いずれも各月第3木曜日、時間は午後6時50分~8時30分を予定していますが、やむを得ぬ事情で変更する可能性があることをご了承ください(8月は第4週になります)。

*これまで取上げてきた作品

2014年10月から始まったこの集いは、<その1>で「ランボオ」「ドストエフスキイの生活」「モオツァルト」「ゴッホの手紙」「近代絵画」「本居宣長」と、小林秀雄が最も力を注いだ人間劇の大作を取上げ、小林秀雄山脈の最高峰を辿りました。

<その2>では、若き小林秀雄が文学活動を開始した時期の6篇、「一ツの脳髄」「様々なる意匠」「志賀直哉」「Xへの手紙」「アンドレ・ジイド」「故郷を失った文学」を読み、当初は小説家になろうとしていた小林秀雄が、批評家になるに至った岐れ路までを歩きました。

そして<その3>では「美を求めて」と銘打ち、30代半ばのある日、小林秀雄が突如として身を躍らせた美の世界を訪ね、美と生きることによって触れた人生の機微を「伝統」「無常という事」「骨董」など美の体験記6篇の行間から聞き取ろうとしました。

今回の<その4>終了後も<その5><その6>……と6篇ずつ半年単位で取り上げていく予定です。

なお、この集いは、これまで「小林秀雄と人生を味わう夕べ」と呼んできましたが、2016年4月から、「味わう」を「読む」としました。「味わう」も小林秀雄にとっては大事な言葉ですが、最後の労作「本居宣長」の第41章に、「人生を物語と観じて、よみならうという一種の眼力を……」という一節があります。歩き始めて一年半、たくさんの方々の熱意に支えられてここまでくることのできた私たちの集いは、小林秀雄が最晩年に熱く説いた「人生を読むという眼力」を念頭において回を重ねていくことで、いっそう深く小林秀雄を、人生を、味わいたいと思います。

小林秀雄(こばやし・ひでお)
明治35年(1902)4月、東京に生れる。昭和4年(1929)27歳の夏、「様々なる意匠」によって文壇にデビュー、以来ほぼ半世紀、日本の近代批評の創始者、確立者として歩み続けた。昭和42年11月、文化勲章受章。昭和58年3月死去、80歳。

池田雅延(いけだ・まさのぶ)
昭和45年、新潮社に入り、「本居宣長」をはじめとする書籍の編集を通じて小林秀雄の肉声を聞き続けた。小林亡き後も第5次、第6次「小林秀雄全集」を編集、第6次全集では本文を新字体・新かなづかいで組み、全作品に脚注を施すなどの新機軸を打ち出した。

2016年5月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク