小説家・白岩玄『野ブタ。をプロデュース』ドラマ化後に訪れたドン底を語る

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 お笑いコンビオードリーの若林正恭さん(37)が司会を務めるBSジャパンの番組「ご本、出しときますね?」に、5月27日小説家の海猫沢めろんさんと白岩玄さんが出演した。今回の二人は過去に出演した小説家からの推薦で出演がきまっただけに、テレビでは流せないディープな話題が満載の収録となった。

■「野ブタ」後に来たドン底

 白岩さんは作家で歌人の加藤千恵さん(32)の推薦で出演。デビュー作『野ブタ。をプロデュース』(河出書房新社)が大ヒットし、山下智久、亀梨和也、堀北真希ら主演でドラマ化もされた白岩さん。しかしその後数年間はドン底だったと語る。21歳で「けっこうなお金が入ってきて、ちょっとおかしくなった」とそのお金が原因で人間関係がおかしくなり「鬱みたいになってしまった」という。その後4、5年の間「ずーっと落ちてました」と順風満帆に始まった小説家にも辛い時期があったことを明かした。

 また白岩さんは「私のルール」として作家がこだわっている事柄をあげるコーナーで「海の砂浜でジャンプして写真を撮る女とは距離を置く」と語る。そういう行為は「幸せな瞬間を“盛って”でも作りたい」という意図が透けて見える、と手厳しい言葉。そういう人は行く先々で「ちょっと盛って撮る」を繰り返すだろうと思うと、「本当に勘弁してほしい」と“盛る”人への違和感を語った。

■ファイヤーダンスをする作家

 海猫沢さんは西加奈子さん(39)や朝井リョウさん(26)から推薦を受けて登場。趣味のファイヤーダンスを披露して他の作家さんたちのどぎもを抜いているようだ。海猫沢さんは全寮制の高校の出身。その高校は漫画『魁!!男塾』(集英社)のような学校で「素手で便器を磨いていた」と語る。しかしそこからはテレビでは流しづらいと放送ではカット。海猫沢さんのその後の経歴は自伝的小説『全滅脳フューチャー!!!』(幻冬舎)で描かれている。

 その後ドン底だったというサラリーマン生活を経験し、紆余曲折の末小説家になった。海猫沢さんはその頃の経験を踏まえ、番組の最後で20代の人に響くような小説として、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹[著](KADOKAWA)を薦めた。「思春期で閉塞していて、わー、どうしようもないとなっていた気持ちを常に思い出す」と何度引っ越しをしても手放せない必要な小説だと紹介した。

■ネット上でも好評

 ネット上では今回の放送について「こんなに共感できる番組はない」や「未公開の部分多いんだろうな、気になる」「自分の中で漠然と思ってたことをしっかり説明してくれる」など小説家の貴重な語りが聞ける番組に絶賛の声が上がっている。同番組の最新の放送回はBSジャパンのウェブサイト(http://www.bs-j.co.jp/gohon/index.html)でも無料配信されている。

 文筆系トークバラエティ「ご本、出しときますね?」はBSジャパンにて毎週金曜よる11時30分から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年5月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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