谷川俊太郎×長山さき「大笑いしているうちにぎくっとして、突然泣きたくなる本をめぐって」

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 谷川俊太郎さんが「大笑いしてるうちにぎくっとして、突然泣きたくなる21世紀のイソップ」と絶賛なさった『ハリネズミの願い』の刊行を記念して、翻訳者の長山さきさんとと谷川俊太郎さんによる対談イベントを開催します。

『ハリネズミの願い』の著者・トーン・テレヘンは、どうぶつを主人公とした話を50冊以上書きつづけ、オランダでもっとも敬愛されている作家です。何年か前までは医師が本業でした。もうすぐ75歳のいまも、自転車でアムステルダムの街を走っています。

 日本で初めて訳されたトーン・テレヘンの物語は『だれも死なない』。2000年のことでした。この日本語版タイトルを名づけたのは、谷川俊太郎さんです。翻訳者はアムステルダムに暮らす長山さきさん。谷川さんはこの本を、「ぼくが一生かかっても書けない、かわいくてこわい童話」と評され、『だれも死なない』が絶版になってからも、「あの本、復刊できないの?」と折りに触れておっしゃっていました。その声に励まされてきた長山さんが、これは絶対に日本語に訳したい、と読むなり訳しはじめてしまったのが、この『ハリネズミの願い』です。

 ある日、自分のハリが大嫌いで、恥ずかしがりやで気難しいハリネズミが、誰かを家に招待しようと思いたち、招待状を書きはじめます。

「親愛なるどうぶつたちへ キミたちみんなをぼくの家に招待します」

 ところがすぐに不安になって、こう書き足してしまいます。

「……でも、だれも来なくてもだいじょうぶです」

 もしもクマがきたら? ヒキガエルがきたら? ゾウがきたら? フクロウがきたら? ――59のショートストーリーで描かれるのは、ハリネズミの頭のなかで繰り広げられるひどい訪問のかずかず。笑いながら、身につまされながら読んでいくと、とうとう最後に、誰かのノックの音が……。

『ハリネズミの願い』について、そして、谷川さんが絵本『かないくん』で描かれた、忘れられない友だちについて、翻訳者の長山さきさんと語りあっていただきます。

■日時:2016年7月1日(月)19:00~20:30
■会場:la kagu(ラカグ)2F レクチャースペースsoko
■参加方法:http://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01d666y7ymvr.html

谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)
1931年東京生れ。1952年、処女詩集『二十億光年の孤独』を刊行、新しくみずみずしい感性が高い評価を得る。以降、数多くの詩集、エッセイ、絵本、翻訳書などがあり、その詩は海外でも広く支持されている。読売文学賞を受賞した詩集『日々の地図』をはじめ、詩集『六十二のソネット』『定義』『女に』『世間知ラズ』『トロムソコラージュ』『ことばあそびうた』『よしなしうた』、絵本『あな』『とき』『かないくん』、翻訳に『マザーグース』『スヌーピー』など、著書多数。

長山さき(ながやま・さき)
1963年神戸生まれ。芦屋で育つ。関西学院大学大学院修士課程修了。文化人類学を学ぶ。87年、オランダ政府奨学生としてライデン大学に留学。以後オランダに暮らし、現在アムステルダム在住。訳書にトーン・テレヘン『だれも死なない』、ハリー・ムリシュ『天国の発見』『過程』、ヘールト・マック『ヨーロッパの100年』、ディミトリ・フェルフルスト『残念な日々』、ウィレム・ユーケス『よい旅を』、マリット・テルンクヴィスト他『おねえちゃんにあった夜』ほか。

2016年6月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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