女優の杏 数行で時代を飛び越える“詩の魅力”を語る

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。6月5日の放送では「時間の流れ」を感じさせる2冊が紹介された。

■時間を行きつ戻りつ

 この日杏さんは、「短い間でながーい間を行きつ戻りつ」と詩集『あさって歯医者さんに行こう』高橋順子[著](デコ)を紹介。高橋さんは現代詩女流賞や、読売文学賞を受賞している、現代を代表する女流詩人。それぞれ10数行の短い詩のなかで日常から歴史、ファンタジーが歌われている。杏さんは「詩というと『今を切りとる』というイメージがあった。“練られた即興”のような。しかしこの詩集は短い一遍の詩の中で、何十年も行ったり来たりする」と紹介した。1行を隔てると何十年も年をとる樹木。初々しい恋人たちが2行先で老夫婦となる。「それを数行で表現し、完結まで持っていく。長いものを一瞬で見れたような気になる」、「装丁もとっても綺麗。短さの中の時の流れを感じて頂きたい」と語り、「高尚すぎず親しめる部分もいっぱいある」と薦めた。

■テスト問題になった作者の気持ち

 二人は詩の鑑賞に関するエピソードを話す中で、国語のテストに話は及んだ。最近杏さんのエッセイ『杏のふむふむ』(筑摩書房)が中学の入試問題になったという。杏さんは問題になることはとても嬉しかった、と話すも「このとき作者はどのようなことを考えていたでしょうか」のような問題には自分も悩んでしまったと明かした。大倉さんは「国語のテスト大っきらいだったんだよなあ」と語り、作家の遠藤周作が自作がテストに出ていた際、答えを間違えたというエピソードをあげて笑った。杏さんは問題の答えは見せてもらっていないものの、「そこまで考えて私も書いてないかも」と興味深く問題を読んだと話した。

■とてもいい人・滝口悠生

 大倉さんは「とてもいい人に見えた、滝口さんが書いた葬式小説」と『死んでいない者』滝口悠生[著](文藝春秋)を紹介した。『死んでいない者』は第154回芥川賞を受賞した作品。大倉さんは滝口さんと会った際の印象を「どこからどうみてもいい人にしか見えない」と語り、作品自体も「芥川賞というと読みにくさを感じるものもあるが、この小説は文章が軟らかくて優しい。いじわるなところがない」と評した。お葬式で親戚が大勢集まる様子を描いており、総勢30人以上の登場人物が登場する。大倉さんは読んでいると登場人物の多さから、誰が誰の話をしているのかわからなくなるも「滝口さんがそのつもりで書いているんだ」と諦めてよいのだと理解したという。「死者を中心として生きている者たちが溶けてゆく感じ。大往生を遂げた死者を囲むお葬式の雰囲気がよくあらわれている。おもしれえなぁー」と同作の魅力に感じ入った様子だった。

 またゲストのバンド・空想委員会の三浦隆一さんが『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』カーマイン・ガロ[著](日経BP社)を紹介。千駄木の往来堂書店店長・笈入建志さんが『多数決を疑う』坂井豊貴[著](岩波書店)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

Book Bang編集部
2016年6月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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