問題解決の大前提=「ゴール志考」をもて!
問題解決で一番大切なことは、問題を「解決」することです。しかし、いざ問題解決を始めると、ほとんどの人が問題解決のゴールである「問題の解決」に必要な「心と頭」の最適な状態を維持できなくなります。
つい、原因の分析作業に、時間をかけすぎてしまう。
つい、解決策の選択肢を、幅広く探しすぎてしまう。
つい、周囲への根まわしに、意識を向けすぎてしまう。
問題解決のプロセスにある、目先のステップに囚われてしまうのです。
より効率的に、効果的に問題を解決するためにはまず、「ゴール志考(しこう)」を身につけましょう。この「ゴール志考」とは、造語で、「ゴール志向」と「ゴール思考」を合わせたものです。
・「ゴール志向」:問題解決に携わる人間は、常に「絶対に解決する!」という熱意をもつことが重要(=志)
・「ゴール思考」:問題解決に携わる人間は、常に「ベストな解決策を考える」クールな頭をもつことが重要(=考)
問題解決では、この「ゴール志考」をもつことを、忘れてはいけません。
この「ゴール志考」だけは、いつも念頭においてください。
以下に、この「ゴール志考」を貫くための3つの原則を挙げます。
原則1.「ベストな解決策よりも確実な実行」
どんなに素晴らしい解決策を見出しても、問題を解決できなければ「絵に描いた餅」。大切なのは、ベストな解決策の考案に全力を集中させることではなく、たとえベターな解決策であっても、確実に実行まで力を注ぐことです。
「ベターな解決策」といっても、解決策の考案を軽視するという意味ではありません。「解決策は『考案』と『実行』の両方が大切である」ということで、次のように表現できます。
・最終成果 = 解決策の考案 × 解決策の実行
解決策の「考案」と「実行」、そのどちらかが「0」になれば、成果は「0」になるので、やはり、「解決策の考案」は重要です。しかし、問題解決のプロセスでは、「解決策の実行」が軽く見られがちなので、ここではその大切さを強調したいと思います。
解決策の実行を軽視してはいけない理由が2つあります。
1つ目。実行には、多くの時間とエネルギーを費やすことになります。実行の軽視は、時間とエネルギーが足りなくなり、実行しきれなくなる可能性を生みます。
2 つ目。解決策の実行には、新たな「問題の解決」が必要になるからです。現実は思っているよりも複雑で、実行の道のりでは「本質は外していないが、局面ごと に想定外の問題につき当たる」ことが多いのです。解決策の実行を軽視して、「後はあなただけで、この解決策を実施してください」などと無責任に仕事を投げ てしまっては、実行段階で挫折してしまいかねません。
実行段階では、貴重な資源を費やすこと、想定外の問題が起こることを前提として、粘り強く前に進めていくことが重要なのです。
原則2.「時間配分を常に意識する」
問題解決は、問題を解決する一連のプロセスです。ステップを踏みながら、問題解決のプロセスを進めていきます。
各ステップへの時間配分を無計画に進めると、問題の解決にたどりつくまでに当初の想定を上まわる時間を要してしまいがちです。また、各ステップでは、想定外の事実の判明や、意見の衝突など、時間を要する要因がたくさん発生します。
各ステップを確実に実行していくためにも、想定外の事態に時間を食い潰されすぎないためにも、時間配分を十分におこないましょう。具体的には、次の2点を重視します。
松浦 剛志(まつうら たけし)
東京都町田市出身。1969年9月9日生まれ。株式会社プロセス・ラボ代表取締役。
1993 年、京都大学経済学部卒。大学卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)企業部・審査部にて融資審査・事業再生などを担当。その後、株式会社グロービス (MBA教育・ベンチャーキャピタル)にてグループ全体のコーポレート業務、アントレピア株式会社(投資ファンド)にて投資先企業の育成・業績モニタリン グなどを実施する。2002年、戦略/人事/会計をトータル的に支援するコンサルティングファーム、有限会社ウィルミッツを創業。2006年、業務改善コ ンサルティングをウィルミッツから分社化し、株式会社プロセス・ラボを創業。現在2社の代表取締役。
中村 一浩(なかむら かずひろ)
神奈川県横浜市出身。1978年3月2日生まれ。上智大学理工学部卒業。事業構想大学院大学修士課程修了。
株 式会社ミスミグループ本社、株式会社リクルートホールディングスなどを経て独立。専門領域は人材育成・組織活性、事業開発。企業研修では、累計1000名 以上への講義実績。現在注力しているのは「対話」を通じたイノベーションの創出。代表的な取組みとして、長野県小布施町、慶應義塾大学大学院SDMとの共 同事業である「小布施インキュベーションキャンプ」がある。
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