髭男爵・山田ルイ53世 最年少で芥川賞を受賞した平野啓一郎に「もてたでしょう、平野君!」

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 お笑いコンビ髭男爵の山田ルイ53世さん(41)とフリーアナウンサーの宮崎宣子さん(36)が司会を務めるラジオ番組「土曜の午後は♪ ヒゲとノブコのWEEKEND JUKEBOX」に6月18日、小説家の平野啓一郎さん(40)が出演した。平野さんの最新作『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)の中の一節に番組スタッフ一同が感激したと明かされた。

■もてたでしょう、平野君!

 平野さんと山田さんはどちらも75年生まれ。2人は同学年という共通点から放送中はどちらもリラックスした雰囲気。大学在学中23歳のときに芥川賞を受賞した平野さんに対し、当時はもてたでしょうと山田さん。「うひょーでしょ、正直、平野君!」と同級生ならではの軽口も飛び出した。しかし平野さんは「怖かったですね。褒めてもらえたけど、批判もあるし、どういう風に振る舞っていいかわからなかった。コンビニでいつも読む雑誌を立ち読みしてたら自分の悪口が書いてあったり。いいことが10個あるより、悪いことが1個あったほうが頭にずっと残る」と最年少受賞で話題となった平野さんならではの当時の様子を振り返った。

■連載特有の良さ

 最新刊『マチネの終わりに』は新聞連載の作品。連載のときに読者の盛り上がりが伝わってきたと話す平野さん。「小説はだいたい1人で孤独に書いている。孤独なマラソンみたいなもの。果たしてゴールに人は待っているのか、このコースであっているのか、走りきれるのか。でも今回は連載中に反響があったので、沿道に人がいる感じだった」と連載の良さを語った。そして作品を執筆した背景を「20代30代の頃はやりたい事や、やらなきゃいけない事がはっきりしており、頑張ってやろうとしてきた。しかし40歳になって作家としてステップアップしたいと考えた時、やるべきことが漠然としていた。やりたいことは色々あるが、本当にすべきことはどれなのか選ばないといけない。主人公に共感をしながら書いた」と40代の生き方を描いた今作を解説した。

■過去は変えられる

 同作のなかでも山田さん、宮崎さん、スタッフらが読んで一様に「馬鹿みたいに心に刺さった」というフレーズが「未来は常に過去を変えている」という一文。宮崎さんは「過去は過去で終わっちゃったことだから、前しか見ることが出来ないと思っていた」と語るも、平野さんは「過去は変わらず、それによって自分が縛られていると思っているが、年齢によっても過去の見え方は変わる。楽しかった思い出も酷い別れ方をしたら嫌な思い出に見えてくるし、その人といい再会の仕方をすれば穏やかな気持ちで振り返れる。過去は安定していない。見え方によって過去は変わってゆくんじゃないかな」と解説した。宮崎さんはその部分に本当に感動したと語り、「変わらないと思っていたこともこれから起こる出来事によって、変えられるんだ」と勇気づけられたと話した。

土曜の午後は♪ ヒゲとノブコのWEEKEND JUKEBOX」は文化放送にて毎週土曜昼1時から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年6月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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