女優の杏 2016年マンガ大賞『ゴールデンカムイ』に繋がる手塚マンガ『シュマリ』を紹介

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。6月19日の放送は手塚治虫ナイトと題し、杏さんは2016年話題のマンガと繋がる1冊を、大倉さんは定番の1冊を紹介した。

■北海道を舞台とした『シュマリ』

 杏さんは読書家として知られるが「手塚治虫文化賞」(朝日新聞社主催)の選考委員も務めるマンガ通。子どもの頃からお小遣いや親に買ってもらい手塚マンガに親しんでいたという。そんな杏さんが膨大な数の手塚作品から悩みながら選んだ1冊は『シュマリ』。明治初期の北海道を舞台に、開拓使シュマリやアイヌの人々、五稜郭の戦いを生き残った土方歳三らが登場し、徳川の隠し金をめぐる争いや歴史に翻弄される男女の姿が描かれる。

■マンガ大賞『ゴールデンカムイ』に繋がる

 実はこれらの題材は2016年大注目のマンガ『ゴールデンカムイ』野田サトル[著](集英社)にも共通している。『シュマリ』のあとがきで手塚は当時のアイヌをめぐる社会の状況に配慮し、構成の変更をせざるを得ず、「シュマリはたいへんあいまいな性格の、僕自身ノらないヒーローになりました」と書いていたという。杏さんはそのバトンを受け取ったのが『ゴールデンカムイ』だと解説し「合わせて楽しんで頂ければ」と原点となった1作と、現代のマンガ家からの手塚に対する答えの1作、2作を同時に薦めた。

■やっぱり『火の鳥』

 それに対し大倉さんの選んだ1冊は『火の鳥』。大倉さんは「COM」などの雑誌連載のころから読んでいたと話す。そして、世界は自分の意識が作りだしていると論じる「唯我論」をコンパクトに描いた短編「赤の他人」をあげ「この人ってとんでもないことを考えるな、と唯我論に独占されてしまってちょっとおかしくなっていた時期もある」と大きな影響を受けたことを告白した。『火の鳥』は全13巻の作品ではあるものの未完であり、読み手に大きな宿題が残された作品。大倉さんは、そろそろ『火の鳥』を完成させたいという大胆な作家があらわれてもいいんじゃないか、と現代のマンガ家へ期待をあらわした。

 また2人は手塚のブラックな部分や手塚が描いていた多種多様なフェティシズムにも言及し、手塚ファンならばライトにされたアニメを見るだけでなく、マンガを読んでみてほしいと薦めていた。

 その日のゲストの『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)が話題の姫乃たまさん(23)は「感性に刺さった本」として『少々生臭いお話』鮪オーケストラ[著](エンターブレイン)を紹介。また下北沢の書店B&B店長の寺島さやかさんが、『昭和ごはん』高橋良枝[著](朝日新聞出版)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年6月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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