女優の杏 五十路マダムの5ヶ月3200kmにわたる観光と買い物三昧の旅に驚愕

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。7月10日の放送で杏さんはあの大スターの先祖が記した旅日記を紹介した。

■五十路の「姥ガール」4人組の旅日記

 杏さんは「○○ガールが量産される今、ちょっと待って。置いといて、こっち行こう!」と『姥ざかり花の旅笠―小田宅子の「東路日記」』田辺聖子[著](集英社)を紹介。同書は江戸時代後期に書かれた実際の旅日記を、田辺聖子さんが読み解き、注釈を入れて読み物としたもの。教養溢れる商家の内儀(=妻)4人の旅路は、九州から伊勢、善光寺から江戸、そして日光詣り。さらには京都、大阪を巡り九州に戻るまで、5ヶ月間3200kmにわたる観光と買い物三昧の記録となっている。4人は立ち寄る先で和歌を詠み、芝居にも入れ込む。子育ても終わった五十路の「姥ガール」が人生を楽しみ尽くす様子が描かれている。

■健さんの先祖?!

 主人公の小田宅子は50代の「姥盛り」。彼女はなんと2014年に亡くなった俳優の高倉健さんの5代前の先祖でもある。同書は元々、実家にあった「東路日記」をもう少し噛み砕いたら面白いのではないかと健さんが出版社に相談したことから始まった。そこから田辺さんがまとめることとなり、広く世に出版されたという経緯をたどっている。杏さんは「東路日記」のことを健さんのエッセイ『あなたに褒められたくて』(集英社)で知ったという。そんなエピソードも含め「驚きがたくさん詰まった本。今読んでも面白い」と薦めた。

■ピアノの話に曲名が出てこない理由

 大倉さんは「ピアノが弾きたい……」と『羊と鋼の森』宮下奈都[著](文藝春秋)を紹介した。同作は2016年本屋大賞を受賞した大ベストセラー。ピアノの調律師が主人公の作品だが作中に曲名がほとんど出てこない。大倉さんはその手法を「音から描く心象風景・景色を上手く描写している。曲名が書いてあると頭の中で簡単に作られちゃう。それがないのがすごい」と描写の巧みさを絶賛した。

 その日のゲストで作家・映画監督の森達也さんは自作『チャンキ』(新潮社)を紹介した。同作はノンフィクション映画で著名な森さん初の長編フィクション小説。また八重洲ブックセンター上大岡店の平井真美さんは『西洋菓子店プティ・フール』千早茜[著](文藝春秋)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年7月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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