劇作家・平田オリザ「このまま日本はずるずると滅んでゆく」参院選の結果について語る
テレビ・ラジオで取り上げられた本
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- 下り坂をそろそろと下る
- 価格:946円(税込)
大竹まことさん(67)が司会を務める文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」のコーナー「大竹メインディッシュ」に7月11日、劇作家・演出家の平田オリザさん(53)が出演した。平田さんによる日本の現状分析と今後の日本への提言がなされた。
■アベノミクスは成長の幻想を上手に見せた
番組冒頭で平田さんは7月10日に行われた参議院選挙の結果について語った。与党と野党の党勢は55年体制の頃の自民党と社会党の比率に戻ったと語り「たぶんこのまま固定化し、日本はずるずると滅んでゆくと思います」と分析した。
大竹さんは争点となった憲法と経済の両輪のうち、経済の面で取って変わる政党がないのではないか、と尋ねた。それに対し平田さんは「成長をまだ信じている人達が多数派を占めている。アベノミクスは成長の幻想を上手く見せた。そのことは認めざるを得ない。ただし幻想に過ぎない、問題の先送りに過ぎない」と厳しい評価をし、人間は死の淵に立ってからでないと変われない、と指摘した。
そして「今後の日本は痛みが自覚できない茹でガエルのようにゆるゆると下ってゆくしかない。なるべく下り坂を急にしないようにしてゆくしかない」と主張した。
■3つの寂しさ
平田さんは近著『下り坂をそろそろと下る』(講談社)のなかで日本は「3つの寂しさ」と向き合うことが大事だと述べている。その3つとは「経済成長はしない」「工業立国ではない」「アジア唯一の先進国ではない」という日本の現実のこと。
日本がこの先成長しないということは「皆薄々はわかっていると思う」と平田さんは語る。そしてこの先「プロジェクトX」のような感動的な高度経済成長の幻想は来ないという。そして150年間続いたアジア唯一の先進国という立場も、中国・韓国の成長により消えうせた。それが受け入れられない・受け入れたくない一部の極端な人々がヘイトスピーチに走ってしまうのだ、と分析した。
■成長分野はないのか?
それに対し大竹さんは太陽光発電や福祉の分野などで飛躍するような成長があるのではないか、と疑問を口にした。平田さんは「普遍的な技術はすぐに追いつかれてしまう。ただし東大阪の町工場でやっているような隙間産業はすごく優れており、まだまだ価値がある。しかしiPhoneの中身は日本や中国が作っているのに儲けはアメリカに持って行かれている。(iPhoneのような)イノベーションを日本で起こせるかどうかが問題だ」と優れた技術にも付加価値を与えることが大事だと解説した。
『下り坂をそろそろと下る』は日本がこの先下り坂であると認め、その寂しさに耐えながらも、下り坂のよいところを探し、おおらかに下って行こうと提言する一冊だ。
「大竹まこと ゴールデンラジオ!」は文化放送にて月曜から金曜午後1時から放送中。
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