都知事選に立候補した「ニュースの職人」鳥越俊太郎ってどんな人!?

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1鳥越氏はどう生き、何を目指しているのか?


混迷の2016年東京都知事選、野党が統一候補として白羽の矢を立てたのは鳥越俊太郎氏です。京都大学卒業後、毎日新聞に入社。「サンデー毎日」編集部時代は宇野総理の女性問題、浜田幸一の賭博問題など政治がらみのスキャンダルをスクープし、毎日新聞を退職してからはテレビキャスターへ。1989年から始まった「ザ・スクープ」(テレビ朝日系列)での軽妙かつ鋭い語り口が印象深い人も多いのではないでしょうか? 

そんな鳥越氏の仕事観を1冊にまとめたのが、『鳥越俊太郎 仕事の美学 君は人生を戦い抜く覚悟ができているか?』(日本実業出版社)です。本書を引用しながら、鳥越氏の仕事に対する姿勢を紹介します。

◆「直感」でチャンスをつかむ 
 ──直感力が「ストーカー規制法」を成立させた!

鳥越氏が仕事をする上で、大切にしているのは「直感」です。たとえば鳥越氏は、多くのマスメディアが「ブランド物で身を固めた女子大生の痴情のもつれ」として報道していた「桶川女子大生ストーカー殺人事件」に対し、ストーキングという新しい形の犯罪であり、殺人が起きた背景には警察の怠慢があったことを直感し、自分の番組「ザ・スクープ」で検証。

その結果、日本にストーカーという概念が浸透。「普通の女子大生が、男に執拗につきまとわれて殺される。これはいままでの殺人事件とは違うのではないか」という直感が事件の真実を暴き、最終的に「ストーカー規制法」の成立に到りました。

◆「覚悟」が仕事の質を高める 
 ──覚悟のある仕事が次の仕事を呼んでくる

鳥越氏のモットーは「人間到る所に青山在り」。世の中は広く、骨を埋める場所はどこにでもある。だからこそ、どこへでも行って大いに活躍するべきだ、というような意味の言葉です。

そのモットーに基づいて、鳥越氏は毎日新聞新潟支局、大阪本社、東京本社と命じられるまま異動し、仕事内容も農業記者から事件記者、週刊誌である「サンデー毎日」の記者まで、幅広く経験しました。もちろん、嬉しい異動もあれば複雑な異動もあったと言います。しかし、その場その場で全力投球し、つねに覚悟をもって仕事と向きあってきました。

たとえば「サンデー毎日」時代に「イエスの方舟」事件をスクープしたときには、逮捕されることまで覚悟したそうです(なぜそんな覚悟をするに至ったかはぜひ本書をお読みください)。行けと言われた場所へ行き、覚悟をもって仕事に全身全霊で向きあう。そうすれば、必ず道は拓けて次の仕事へつながっていく、と鳥越氏は言います。
 

◆「失敗」とは肚をくくって向かいあう 
  ──潔く向かいあえば仕事の質が高まる

鳥越氏は、「誤報」の経験者でもあります。1つめは「サンデー毎日」デスク時代。エイズウイルスに感染したジャパゆきさん(※)がいた、というスクープを掲載したことがありました。エイズウイルスに感染した場合、そのまま死に至ると恐れられて時代です。そのスクープは日本中にパニックを起こしましたが、根も葉もない誤報だったのです。

また、テレビ「ザ・スクープ」時代にも誤報の経験があり、鳥越氏は「僕は誤報の達人だ」とまで言っています。記者、キャスターにとっての誤報は大失敗。しかし、失敗をおかしたときに大切なことは決して逃げないこと。逃げずに、人のせいにせず、肚をくくって向かいあい、全身全霊をこめてお詫びする。そうすることで「失敗」すら強みになると鳥越氏は語ります。

ちなみに「ジャパゆきさん」誤報事件では、7ページにわたる誤報検証記事を掲載、責任の所在と原因を明らかにして読者にお詫びをしたことで、「サンデー毎日」の信頼は揺るぎませんでした。

***

以上のような仕事観や人生観、政治観など、鳥越氏が培ってきた哲学をさまざまな角度から紹介した本書は、若い世代へのメッセージにもなっています。

※ジャパゆきさん 1980年台前半ごろから、日本に出稼ぎにくるようになった主に東南アジアの女性の総称。

日本実業出版社
2016年7月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

日本実業出版社

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