池上彰「NHKは国営放送と批判されたってしょうがない」籾井勝人会長をばっさり

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 久米宏さん(72)が書店店長、壇蜜さん(35)が書店員となり、毎回話題の本を取り上げるBS日テレの番組「久米書店」。7月17日の放送では5月15日に放送され大反響を呼んだ池上彰さん(65)と久米さんとの対話の未公開シーンが放送された。池上さんが現NHK会長の籾井勝人氏について、報道機関の役割を理解していない、とばっさりと切り捨てたシーンが放送された。

■経営のプロに任せることが大事

 池上さんは2005年にNHKを退職している。久米さんは「最近のNHKはどう思います?」と尋ねた。それに対し池上さんは「会長が変わるとこんなにも変わるものかという典型例」と述べた。

 先々代の福地茂雄氏、先代の松本正之氏、どちらも放送業界の出身ではない。NHK内部でメディアの経験のない人で大丈夫なのか、という声があがったが、どちらも現場に自由に番組をつくらせ、責任は自分がとるという姿勢で、社内の風通しは良くなったと池上さんは述べる。経営のプロに任せたところ朝の連続ドラマなどでヒットが次々と生まれる体制ができあがったのだ。

■「この人を社長にしたら会社がどうなるかわからない」人が会長に

 しかしその後、籾井勝人氏が会長となってからは「わけのわからんことになって、非常に重苦しい空気となっている」と手厳しいコメント。

 久米さんは「今の会長は経営のプロではないんですか?」と問うと、池上さんは「経営のプロということになっています。しかし三井物産の副社長にまでなったが社長レースに敗れた。三井物産のなかでこの人を社長にしたら会社がどうなるかわからない、と思った人たちが反対運動をした」と解説し、「それがNHKに来たわけだ」と久米さんも唖然としていた。

■忖度する人があらわれる

 また籾井氏の問題発言に関しても「最初に物議をかもしたため、最近は何も言わなくなっている。ただしその下に忖度する人があらわれる。上をみながらこうしなければいけないんじゃないか、という人がいると変なことになる」と重苦しい空気のもたらす影響について解説した。

■国営放送との皮肉

 久米さんも自身のラジオ番組で、NHKは特殊法人であり「国営放送」ではないと説明したにも関わらず、リスナーたちはわざわざ「国営放送」と呼ぶという。池上さんは原子力発電所問題を例にあげ「会長が公式発表をベースに報道しろというのは、これでは政府の広報機関。国営放送と批判されたってしょうがない」とリスナーの皮肉に理解をあらわした。

 そして「公式発表も報道するけど、それを報道機関として検証し間違いがあれば指摘をする。それが報道機関です。この人はそれを全然理解してないんじゃないかということです」と辛らつに切り捨てた。久米さんは「こういう発言ができるだけでも、NHKをやめてよかったんじゃないですか」と声をあげられない職員の気持ちを池上さんが代弁していることを賞賛した。

 5月15日の放送で取り上げられた池上さんの新書『知らないと恥をかく世界の大問題7』(KADOKAWA)は世界が抱える大問題をコンパクトに解説した大ヒットシリーズの第7弾。7冊で160万部を超える大ヒットシリーズだ。刊行直前に発覚した「パナマ文書問題」や4月に起こった熊本地震についても解説されている。

久米書店 ヨクわかる!話題の一冊」はBS日テレにて毎週日曜18:00から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年7月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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