女優の杏「竹から生まれた吸血鬼?」東洋と西洋が結びついたファンタジー小説を紹介

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。7月17日の放送で杏さんは退廃的なファンタジー小説を紹介した。

■吸血鬼と少年の交流を描く

 杏さんはこの日「曇り空が綺麗」と『ほんとうの花を見せにきた』桜庭一樹[著](文藝春秋)を紹介した。同書は退廃的な世界を舞台に、吸血鬼と人間の少年の絆を描いたファンタジー小説。その世界では、竹から生まれた吸血鬼バンブーと人間の交流は禁じられている。しかし不老不死の吸血鬼は、人間の少年の成長に興味を抱き共同生活をはじめる。杏さんは日の光に当たることのできない吸血鬼が登場するため、物語全体の印象を「くすんだ色のファンタジー」と評した。

■120年に一度花を咲かせる「竹」

 なぜ吸血鬼が「竹」から生まれたのか。その理由は作中では明らかにはされていないという。しかし120年に一度花を咲かせるという現実の竹の性質がモチーフになっているのではないか、と杏さんは推理していた。また竹と吸血鬼の組み合わせは、東洋的なものと西洋的なものが結びついており面白い、と同書を薦めた。

■テロの起こる日常をユーモアを持って描く

 大倉さんは「子供が生まれて、父親が亡くなるまでの人生で最も濃い時間」と『あの素晴らしき七年』エトガル・ケレット[著](新潮社)を紹介した。同書はイスラエルを舞台に、子育てをしつつ、親が衰えてゆくその間の濃密な7年間を描いたエッセイ。著書はテロや空襲に悩まされる日常ながらも、そんな様子をドラマチックに描くのではなく、フラットにどこかユーモアを込めながら描いている。

 著者は無神論者のユダヤ人。危険で複雑なイスラエルという都市に住みながらも、大倉さんは「普通の生活を送っているんだ」と感じさせられたと語る。そして「イスラエル人はこうだというイメージがあるが、それはダメだ」と気付かされたとも語り「もっともっと世界を知りたくなる本」だと絶賛していた。

■西加奈子も絶賛

 ケレットについて直木賞作家の西加奈子さん(39)も書評誌『波』2016年5月号(新潮社)にて「ケレットのキュートな人柄(中略)、そして彼のお話のとんでもない面白さに、いっぺんでファンになってしまったのだ」と書いている。そして同書を「これはスーパー面白いエッセイ集であり、言葉の、そして物語の力を信じている人だけが出来る勇気の書でもあるのだ」と評している。

 その日のゲストで作家・映画監督の森達也さんは『生物から見た世界』ユクスキュル 、クリサート[著] (岩波書店)を紹介。また下北沢の書店B&B店長の寺島さやかさんが『みんなの映画100選』長場雄[著・絵]/鍵和田啓介[文](オークラ出版)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年7月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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