直木賞作家・浅田次郎 小説の三大条件を明かす

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 大竹まことさん(67)が司会を務める文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」のコーナー「大竹メインディッシュ」に7月28日、『帰郷』(集英社)を上梓した小説家の浅田次郎さん(64)が出演した。

■『鉄道員』のころも店頭に!

 番組冒頭で浅田さんのおしゃれな装いから話は流れ、浅田さんが婦人服の製造販売会社を経営していたことが話題となった。自身も店頭に立って接客していたこともあり、第117回直木賞を受賞した『鉄道員』(集英社)を書いた頃でもまだお店に出ていたという。

「肩からメジャー下げて、フィッティングルームの前でピンを打ってました」と接客の様子を語り、当時原稿を取りに来た編集者に気付かれないこともあったという。それを聞いた大竹さんは「浅田さんピン打ちやってたんですか! 急にめちゃくちゃ近い存在になってきた」と驚いていた。

■小説の三大条件

 大竹さんはその頃の話が作品にはフィードバックされていませんね、と問うと浅田さんは「自分が飯を食ってきた場所は夢がない。リアルになっちゃって想像力が膨らまない。自分の経験は実は小説家には役に立たない」とその理由を解説した。

 大竹さんは女性の作家などで私小説のように自分をさらけ出す人もいますよね、と尋ねると、浅田さんは「日本の文学のひとつの伝統で、書き手によってはそういう人もいるが、僕は自分の身の回りのこと書いててもつまらない。自分が書いててつまらないものは読者もつまらないでしょう」と見解を述べた。

 しかし直木賞の選考委員をしている浅田さんは、自分と違うタイプの作家でも結局は「読んで面白いかどうか」で評価すると述べ、「面白くて、美しくて、わかりやすい」と小説の三大条件をあげた。

■名も無き人々の矜持ある生

 最新刊『帰郷』は浅田さんのライフワークである戦争小説6編を収録した短編集。大竹さんはなかでも戦後の闇市で、家を失くした帰還兵と娼婦が出会う表題作「歸鄕」を薦めた。自身も子どもの頃に渋谷の街頭に立っていた傷痍軍人を見て怖かったと思い出を語った。

 浅田さんもその頃の渋谷には闇市の残り香があったと語り、そのときに傷痍軍人たちを見た恐怖感がこの作品を書かせたと明かした。そして「あの方たちはそうして反戦を訴えていた。お気の毒だけど貴重な存在だった」と今作に登場する人物たちにも通じる「名も無き人々の矜持ある生」に感嘆の念をあらわしていた。

大竹まこと ゴールデンラジオ!」は文化放送にて月曜から金曜午後1時から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年7月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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