女優の杏 大友克洋の絶版漫画『ヘンゼルとグレーテル』の復刊を熱望

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。8月7日の放送ではどちらも漫画界の大御所が描いた2冊が取り上げられた。

■水木しげる92歳で新連載

 この日杏さんは「小さい頃からずっと絵を描いていらっしゃる方です」と『わたしの日々』水木しげる[著](小学館)を紹介。同書は昨年93歳で亡くなった水木しげるさんが92歳を前にして新しくはじめた連載漫画。水木さんの日常や過去の体験が描かれる。水木さん最後の連載作品であり、少年の頃に描いた童話や戦地で描かれた絵も収録されている。

 同作では水木漫画の特徴でもある「点描」でマンションが立ち並ぶ現代の調布の風景が描かれている。杏さんは点描で描かれた山村などの風景は見たことはあるが、現代の風景を「水木さんテイストで描くとこうなるんだ」と興味深く味わったと解説。亡くなる数ヶ月前に出版された同作の細かい筆致に「この力たるや! 色んな事がありすぎる人生、それを全て描ききったんだな」と最後の最後まで描ききり、生ききった生涯を讃えた。

■大友克洋の貴重な絶版本

 大倉さんは「私が持っている本で1番高く売れる漫画」と『ヘンゼルとグレーテル』大友克洋[著](CBSソニー出版)を紹介した。同作は大友克洋が1981年に出版した短編漫画集。誰もが知っている童話や文学を大友流解釈で換骨奪胎し描いた作品が21篇収録されている。しかし現在は絶版となっている。

 大倉さんは現在活躍している現代アートの会田誠や山口晃は、大友克洋や江口寿史に影響を受けているのではないかと語る。今作もひとコマひとコマの完成度が高く、額に入れればアートとして売り物になるのでは、と絶賛した。

 貴重な一冊を目にした杏さんも「描き込みが素晴らしい」と驚く。2人は絶版のままなのは「もったいない」と復刊されることを願っていた。ただし細かい描き込みが全て伝わるように、同じ装丁(A4変形サイズ)での復刊を希望していた。

『ヘンゼルとグレーテル』は古本市場でどんどんと値段が上がっており、現在では8000円以上のプレミア価格で販売されている。

 また3週連続のゲストで今週が2週目のバンド・アーバンギャルドのボーカル、浜崎容子さんは三島由紀夫の『女神』(新潮文庫)を紹介。八重洲ブックセンター上大岡店の平井真実さんは『大沼ワルツ』谷村志穂[著](小学館)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年8月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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