パフォーマンスを上げるのに必要なのは「やる気」ではなく「◯気」だ――茂木健一郎流「自分基準」の磨きかた

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2016.09.06_2一歩踏み出すにはやる気が必要?(photo by ra2 studio/Fotolia)

私たちは、仕事や勉強のパフォーマンスが上がらない理由を、「やる気が起こらない」「やる気が不足している」ことに求めがちです。そして「何かやる気が出る方法はないものか」と考え込み、ますますパフォーマンスを落としてしまうことも。

しかし、脳科学者の茂木健一郎氏は、この「やる気至上主義」ともいえる考え方に異を唱えます。茂木氏は著書『いつもパフォーマンスの高い人の 脳を自在に操る習慣』において、次のように述べています。

何かをはじめようとしたとき、実はやる気はまったく必要ありません。むしろ、やる気というのは、ときにパフォーマンスを上げて仕事や勉強するための阻害要因となってしまうことすらあるのです。(13ページ)

意外にも「やる気はいらない、むしろやる気がパフォーマンスを下げる場合もある」というのです。どういうことなのでしょうか?

茂木氏は同書で、「やる気」以外にも、パフォーマンスを下げてしまう要因をいくつか指摘しています。そして、そうした要因を排して、パフォーマンスを上げるための方法も。同書の内容から見ていきましょう。

脳は「やる気」という感情を必要としていない

茂木氏によれば、仕事などのパフォーマンスを維持するために大切なのは「やる気」などではなく、「いつものことを淡々とこなす平常心」だ、とのこと。なぜなら、私たちのパフォーマンスは日々の習慣を適切にこなすことによって成り立っているため、「やる気」という特別な感情は脳にとっては不要なのだそうです。いわば、たまにしか食べない贅沢なデザートのようなもので、ときどき思い起こすぐらいがちょうどいいのだとか。

茂木氏が専門とする脳科学の世界では、「やる気」は次のように捉えられています。

ひとつは、「やらないことの言い訳に使われるもの」。「やる気」とは、それさえ手に入れたら何でもできるという自分に対する甘えにもつながる、やっかいなものだという捉え方です。

もうひとつは、「勝手な自分の思い込み」だということ。つまり、「やる気がないと何もできない」というのは思い込みに過ぎない感情であり、実際のところ「やる気」とは、幻覚のように不確かなものだ、というのです。

このような見方をすれば、「やる気は、パフォーマンスを下げる要因にさえなりかねない」という主張にもうなずけます。「やる気」が自分の上に舞い降りてくるまで行動しないのは、単なる甘えであり、ムダなことなのですね。

「客観性」に取りつかれると判断力を失ってしまう

私たちは、パフォーマンスの評価基準をどこに置くことが多いでしょうか。皆が納得しそうな答えは、「100点満点で75点」「TOEIC800点」といった「点数」でしょう。たしかに点数は、客観的で正当な指標であるように思えます。

しかし、茂木氏はここにも問題を指摘します。日本人は「客観性の病」に冒されているような気がしてならない、というのです。

日本実業出版社
2016年9月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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