谷原章介絶賛「教育がこんなドラマティックなストーリーになるんだ」直木賞作家森絵都が5年ぶりに新作発表

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 9月10日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーに直木賞作家の森絵都さん(48)が出演し、5年ぶりの新作『みかづき』(集英社)が紹介された。

■直木賞作家5年ぶりの新作

『みかづき』は昭和から平成の塾業界を舞台に、3世代にわたって奮闘を続ける家族の感動の物語。同作は女優で書評家の中江有里さんが「月の光に浮かび上がる理想と現実。真の教育を巡る人間模様に魅せられた」と絶賛していると報じられた。

 番組では森さんが取材をした塾を訪ね収録が行われた。森さんは今作執筆にあたり3年をかけて取材・リサーチを重ねたという。「石油ショック」「ピンクレディーブーム」「おしんブーム」など昭和から平成の出来ごとを振り返り、そのときの教育界の動きは、塾はどのような状況だったのか、膨大な資料にあたり、年表にまとめた。そうした資料の積み重ねが物語に圧倒的なリアルさや厚みを与えていると解説された。

■塾には色気がある

 始まりは昭和36年。小学校の用務員だった男性が勉強を教えていた児童の母親に誘われ、塾を開設する。ベビーブームや経済成長とともに塾は成長してゆく。しかし時代の流れとともに大手塾の妨害や文部省の干渉などトラブルが降りかかる。そのようなエピソードは森さんが取材で知った実際のエピソードが基になっていると紹介された。

 森さんは学校ではなく塾を舞台にした理由を「塾の方が学校よりも人間臭く、“色気”があると思った。色々な要素があり、底の厚い舞台になると思った」と語った。

 物語の中心には親、子、孫という3代にわたる魅力的な女性キャラクターが描かれる。その理由を森さんは「人は誰かから何かを受け継いで生きている気がする。受け継いでゆく関係性を書きたいと思った」と解説した。

■教える側も成長する

 番組解説者で早稲田大学文学学術院准教授でもある市川真人さんは「教える側の成長にも注目」だと述べ、登場する塾の先生たちが生徒一人一人の様子を見ながら、伝わっているのかと悩みながら成長してゆくところがよく描かれている、と教師の立場から解説した。

 番組MCの谷原章介さん(44)は「ページをめくる手が止められなかった。教育がこんなドラマティックなストーリーになるんだと、改めて読んで感動しました。子はやっぱり宝でもあり、国の未来でもあるなと、すごく思いました」と絶賛した。そして『みかづき』というタイトルの意味を読んで確かめてほしい、と訴えた。

王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

Book Bang編集部
2016年9月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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