「面倒な客は掘り出し物と思え」トップアナリストに学ぶ一流の営業スキル――「相手を思いやる気持ち」が仕事の質を上げる

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「プレゼン開始前にどの程度の時間で説明するのが望ましいか、軽く感触を相手に尋ねると良いと思います」と野﨑氏。相手の時間のニーズに合わせられるように、極端に言えば5分バージョンから3時間バージョンまでプレゼン構成を用意しておくような対応がベストです。
時間がなさそうな相手の素振りに気づかないふりをしてセールスやプレゼンをしていませんか? まず考えるべきは相手のニーズです。自分の目的や都合だけを考えたセールスは逆効果。もちろん話の内容も、相手の関心や反応の度合いによって複数の選択肢を用意しておくべきでしょう。

顧客への思いやりがスピードにつながる

野﨑氏は顧客からのメールに対して「レス5分ルール」を自分に課していたそうです。外出していてもミーティング中などを除き、頻繁に会社のメールアカウントにアクセスし、受信状況をチェックしていました。
この「即レス」のポイントは、顧客からのリクエストを短時間で処理することではなく、「リクエストにきちんと対応します」という約束を即刻行なうことでした。
顧客にとっては、自分が出した要望、依頼を相手が間違いなく認識してくれているかが最も不安です。リクエストの内容が、別途調査を必要として短時間で回答できない場合でも、回答までのおおよその時間をすぐに返信しましょう。それによって相手は安心し、仮に見積もった以上に時間がかかったとしても苛立たせることはありません。
リクエストした顧客の立場を思いやる気持ちが対応スピードを上げ、結果的に自分の信頼度を高めることができるでしょう。

新しい担当者には楽をしてもらう

営業パーソンにとって相手方の担当者が変わることは日常茶飯事。そんな時の対応の仕方も、評価を分ける重要なポイントです。
新しい担当者は勝手がわからず不安を抱えているものです。野﨑氏のポリシーは「不安な人に安らぎを与えること」。投資家サイドの担当交替が決まるとできるだけ早くミーティングをセットしてもらい、入念に情報提供していたそうです。
そのポイントは「いかに投資家に楽をしてもらうか」。投資判断により多くのエネルギーを注いでもらうために、初心者用の解説資料をはじめ、まったくの素人でも理解できるようなプレゼン資料を提供しました。こうした「かゆいところに手が届く」ようなサービスを提供することは、相手にとって、自分の存在意義が高まることにもつながります。
相手方の担当者が変わったときはチャンスです。自社に関することはもちろん、業界や競合他社の状況なども含めて懇切丁寧に情報提供しましょう。不安を感じているであろう相手の立場に立って考えることが重要です。
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『超一流アナリストの技法』は、野﨑氏が自らの行動規範や思考法、駆使してきたビジネススキルを公開したものです。そこにはアナリストならではの専門的スキルも含まれますが、野﨑氏が「アナリストとしてのスキルは、どんなビジネスであっても役に立つ普遍的な技術です」と述べているように、アナリストやその志望者だけに向けて書かれたものではありません。
「超一流の技法」は業界や職種を超えて、仕事や人生のヒントを与えてくれます。

日本実業出版社
2016年10月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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