女優の杏「これは私や!」戦争を体験した女性たちの声に共感

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。10月30日の放送で杏さんは戦後の婦人たちの投稿を集めた一冊をとりあげ、戦争体験を語り継ぐことの大切さを語った。

■戦争は過去の事ではない

 杏さんは「これは私や!」と『婦人の新聞投稿欄「紅皿」集 戦争とおはぎとグリンピース』(西日本新聞社)を紹介した。同書は西日本新聞で60年以上続く読者投稿欄に寄せられた投稿を収録した一冊。敗戦から9年が経ち、女性たちは日常に戻ろうとしていた。しかし未だ日本の家庭にはご飯をつくる時、おしゃべりをする時、生活の中に常に戦争が影を落としていた。

 ある女性は毎年おはぎを作ると、おはぎが好きだった家族のことを思い出すと投稿する。夫が戦争で消息不明になり一人で子供を育てる女性は、父親代わりになろうと子供につい辛くあたってしまうとの声を寄せている。日々の喜びや悲しみのなかにも戦後を感じさせる空気や事象がぽつぽつとあらわれ、杏さんは「無くしてしまったものは深い悲しみだが、それを愛おしんでいる」と戦争が過去の事となっていない彼女たちの声に心を打たれたと語った。

 またNHKの朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」でこの時代の女性を演じた杏さんは親近感が湧き、考えさせられたと語る。そして実際に戦時を経た人々の証言に触れ「死ぬかもしれないって今の日本に住んでいると思わない。昔のことじゃないよと想いを馳せるのはとても大事。今この瞬間も続いてる。過去のものと思わず、触れて感じましょう」と語り継ぐことの大切さを語った。


■ノーベル文学賞作家が描いた謎めいた一作

 大倉さんは「この小説の続きが読みたいので、書いてみようと思う」と『イエスの幼子時代』J・M・クッツェー[著](早川書房)を紹介した。同作はノーベル文学賞作家が描いた哲学的な寓話。移民船に乗りスペイン語が話される国にわたる少年と中年男。そこは過去を捨て新しい生活をはじめる人々が集う国。2人は親子ではないものの、少年の母親を探すために共同生活をはじめる。

聖書に関係する名前の人物が登場するも、タイトル通りにその少年がイエスなのかという謎は最後まではっきりとは明かされない。同作には続編が予定されているという。大倉さんは掴みどころがない魅力があり、続編を早く出してほしいと期待を寄せた。

 3週連続ゲストのアニメーション・プロデューサーの石井朋彦さんは『東京漂流』藤原新也[著](朝日新聞出版)を紹介。また八重洲ブックセンター上大岡店の平井真実さんは『あひる』今村夏子[著](書肆侃侃房 11月20日出版予定)を紹介した。

 「BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。次週はスペシャルゲストとして、杏さんが主演の映画「オケ老人」の監督・細川徹さんが出演する。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年11月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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