■「小麦」が腸に穴を空ける
小麦には、「グルテン」というたんぱく質の混合物が含まれます。
小麦粉は水を混ぜてこねるとネバネバし、粘着性と弾性が出ます。パンやピザ生地、麺類、焼き菓子がつくれるのは、その性質のおかげです。
しかし、グルテンの、ネバネバとした粘着性が腸の表面に薄く付着することで、腸は十分にはたらけず、消化と吸収の作業が妨げられてしまいます。こうなると、腸の表面についたグルテンの消化が進まなくなります。
栄養素が非自己物質のまま存在し続ければ、そこに免疫システムが攻撃をしかけはじめます。
すると、腸の粘膜で炎症が生じます。炎症が長引けば、粘膜細胞で構成される腸壁が傷つきます。粘膜細胞どうしの結合もゆるみます。それによって、粘膜細胞間に隙間ができます。これが、腸にあく小さな穴の正体です。
■小麦を抜いても栄養が偏らない理由
小麦の小さな実の中には、「皮部」「胚芽」「胚乳」と呼ばれる部位があります。
「皮部」は、小麦の実を覆う皮の部分で、小麦の約15パーセントを占めます。ここには食物繊維や鉄分、カルシウムが豊富に含まれます。「胚芽」は、まさに生命の源であり、種子の内部が生長してやがて芽になる部分。ここには良質なたんぱく質の他、ビタミンやミネラルが集中的に含まれます。小麦の実の約2パーセントを占めます。
そして「胚乳」が白い小麦粉となる部分です。小麦の約83パーセントを占めます。
主成分はブドウ糖ですが、グリアジンとグルテニンという2つのたんぱく質も含みます。グリアジンとグルテニンは水を含むと、ネバネバとしたグルテンとなります。
小麦粉とは、小麦の実から皮部も胚芽もとり除き、胚乳のみを製粉したものです。
皮部や胚芽をはぎ取った時点で、小麦の良質な栄養素はほとんどが失われています。小麦粉に残されているのは、糖尿病や肥満の原因となるブドウ糖と、心身の健康を害するグルテンばかり。わずかなビタミンやミネラルも含まれますが、これらはバランスよく野菜類を食べていれば簡単に補えるものです。つまり、小麦粉をやめることで栄養がかたよる心配はないのです。
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