女優の杏 無骨な男たちのぶつかり合いを描いた歴史エンタメをオススメ 今年度ベスト必至との声も

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。11月13日の放送で杏さんは痛快な歴史エンタテインメントを紹介した。

■無頼な男たちのぶつかり合い

 杏さんは「男たちのぶつかり合い、女たちはそれを見てるだけ」と『室町無頼』垣根涼介[著](新潮社)を紹介した。同書は室町時代を舞台にした歴史エンタテインメント。応仁の乱前夜の室町時代、武士のかたちは固まっていなかった。権力側に食い込んだならず者の頭目・骨皮道賢と、市中の浮浪の徒である蓮田兵衛。2人は日本史に悪名を刻む前代未聞のたくらみを企てていた。実在の人物である2人の魅力的な男を軸に、鉄の六尺棒を武器にした凄腕の少年も登場する。「表紙のイラストの印象とは違い無骨な男たちのぶつかり合いが描かれている。少年ジャンプというよりはヤングジャンプ」と評した。

■今年度ベスト必至作

 主人公の一人で後に「吹流しの才蔵」と呼ばれる少年の棒術修行が描かれる。そのシーンを杏さんは「スピーディーな筆致で描かれ、どうなるんだどうなるんだ」と心惹かれた様子。修行の一例をあげると、足元にまきびしを撒かれた動けない状況で風に吹かれる布に吊るされた刃物を避ける、揺れる船の上から回る水車の釘を撃つ等々、まさに格闘漫画で描かれるような成長譚。杏さんは「喩えるならドラゴンボールで亀仙人に亀の甲羅を背負わされた悟空のよう。わくわく感が楽しめます」と紹介した。

 Book Bangでは同書に資料を提供した京都女子大学准教授の早島大祐さんが「私が骨皮道賢の史料を読みなおした時に、本小説で描かれた道賢像が頭からはなれないことを危惧するほど」との言葉を寄せており、文芸評論家の縄田一男さんも「既成の歴史観をくつがえす、今年度ベスト必至作!」と評している。また著者の垣根さんのインタビューも掲載されている。

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室町小説の誕生
「本作品では小説の技法で彼らの動向がきわめて躍動的に描かれており、史実を土台にしていることもあって、リアリティーをもって読み手に迫ってくる。」
https://www.bookbang.jp/review/article/516938
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既成の歴史観をくつがえす、今年度ベスト必至作!
「ああ、思った通りの大傑作さ。今年のベスト10に入ることは確実だ。この作品が本誌に連載されはじめたとき、私はいかん、と思った。もちろん、駄目という意味じゃないよ。こんな面白いものを毎週、少しずつ読まされたら欲求不満になってしまう。単行本にまとまってから読もうと思ったわけさ」
https://www.bookbang.jp/review/article/518778
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『室町無頼』刊行記念インタビュー 垣根涼介/無頼でなければ、この世は変えられない
「この時代を調べると現在の日本、特にバブル経済が弾けたあと二十年以上経ったいまの日本と社会の様相が酷似しているんですね。為替や信用取引が登場し、馬借などの輸送機関が生まれ、農業生産高が飛躍的に上昇し、人と物と銭がめまぐるしく回り始めます。」
https://www.bookbang.jp/review/article/516946
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■貴重な資料に「身体が震えた」

 大倉さんは「読めなくても楽しめます」と『文字の博覧会―旅して集めた“みんぱく”中西コレクション』(LIXIL出版)を紹介。“みんぱく”こと国立民族学博物館に収められた、印刷業を営む中西亮氏が世界各地を廻って集めた貴重な「中西コレクション」を中心に世界の様々な文字の魅力に迫っている。大倉さんは「自分は超文字フェチ」と語り、展覧会で見て「身体が震えた」とその衝撃をあらわした。また「文字をつくるということは何を意味していたのか考えちゃう。文字が生まれたとき、何を考えていたんだろう」と文字の背景に想いを馳せた。杏さんも「パラパラとみていると、この文字を世界の誰かが読めるんだというのはすごいロマン」と感じ入った様子だった。

 3週連続ゲストで今週が初登場の『赤い口紅があればいい』(幻冬舎)を上梓したばかりの野宮真貴さんは「美人になれるヒントが詰まった本」として『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』ジェーン・スー[著](文藝春秋)を紹介。また下北沢の書店B&B店長の寺島さやかさんが『安西水丸さん、デザインを教えてください!-安西水丸 装幀作品研究会-』安西水丸 装幀作品研究会[著](Hotchkiss)を紹介した。
 「BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年11月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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