「アメトーーク! 読書芸人」は影響力大 オススメ本が続々と売り上げ上位に【文芸書・ベストセラー】

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 11月6日~11月12日のAmazonの文芸書売り上げランキングが発表され、第1位は第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの『コンビニ人間』となった。

 第2位は平野啓一郎さんの40代の切なすぎる恋愛を描いた『マチネの終わりに』。第3位は東野圭吾さんのミステリー仕立ての恋愛小説『恋のゴンドラ』となった。

 今週は11月10日のテレビ朝日の番組「アメトーーク!」で行われた「読書芸人」企画で取り上げられた本の上位進出が目立った。1位の『コンビニ人間』(前週7位)はピースの又吉直樹さん、オードリーの若林正恭さん、オアシズの光浦靖子さんの3人が「今年読んだオススメの5冊」に選出しており、2位の『マチネの終わりに』(前週34位)も同様に又吉さん、若林さんが選出している。

 また同番組では「読書芸人大賞2016」も発表しており、5位の『祐介』(前週圏外)は又吉さんが、6位の『グローバライズ』(前週圏外)は光浦さんが、9位の『文学ムック たべるのがおそい vol.1』(前週136位)に収録されている「あひる」今村夏子[著](書肆侃侃房 11月下旬刊行予定)は若林さんが、それぞれ「今年刊行された本の中から読んでもらいたい本」に選出している。

 同番組内で「本の雑誌」編集長の浜本茂さんは、本が爆発的に売れるのは「タレントの方がテレビで本を紹介したとき」と語っており、まさに額面通りの結果となった。またオードリーの若林さんも前回の「読書芸人」放送後「出版社の人に個室の鍋に2回連れて行ってもらった」と告白している他、番組終了後には各書店で「読書芸人」コーナーが作られるなど、出版業界にとって「読書芸人」の放送は看過できない現象となっている。

1位『コンビニ人間』村田沙耶香[著](文藝春秋)

 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて……。現代の実存を軽やかに問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。第155回芥川賞受賞。(文藝春秋ウェブサイトより抜粋)

 Book Bangでは写真家の長島有里枝さんと、文芸ジャーナリスト佐久間文子さん、書店員さんによる書評が掲載されている。

長島有里枝さん(写真家)レビュー
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異質な自分をめぐって
社会生活のあらゆる場で、自分が「異質」だと思い知らされているのに、自分のなにが「悪い」のかはいつまでたってもわからない。芥川賞に決まったこの作品の主人公を通して、見えてくるのは自分にも馴染(なじ)み深い、そんな世界だ。…
https://www.bookbang.jp/review/article/516453
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佐久間文子さん(文芸ジャーナリスト)レビュー
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ひっそり異議を唱える芥川賞受賞作『コンビニ人間』
「コンビニ人間」と聞いて、あなたはどういう人間を想像するだろう。他人に都合よくつかわれる人? いつもコンビニにいる人? それともコンビニのご飯ばかり食べている人だろうか。
 本書の主人公、三十六歳独身の恵子はそのいずれにも当てはまる、べテランコンビニ店員である。一つの店舗に十八年という勤続期間の長さは「コンビニのバイト」というどこの街にもいる透明な存在に特別な重みを与え、バイト仲間や学生時代の友人からの「なぜ?」という質問を誘発してしまう。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517103
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渕書店さんレビュー
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「人生それぞれ。何が悪い?ゴーゴー!!」
主人公の周囲に対する冷めた温度感は読者を妙に安定させる。清々しくて心地いい。社会学的見地から読めばまた別の読みかたも生まれるのであろうがそんな読み方はしなかった。彼女の生きざまを「障害」とみる見方もあるし、彼女の周囲はそう考えるわけだが――。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517515
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2位『マチネの終わりに』平野啓一郎[著](毎日新聞出版)

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。(毎日新聞出版ウェブサイトより)

3位『恋のゴンドラ』東野圭吾[著](実業之日本社)

 この恋の行方は天国か地獄か―― 真冬のスキー場にやって来た男女。日常を離れた大雪原を舞台に彼等の恋は走り出し、やがて思いもよらない結末を迎える!? 「恋をするには愛以上に覚悟と度胸が必要―書きながら改めて思いました。」東野圭吾(実業の日本社ウェブサイトより)

 4位以下は次の通り。

4位『夜行』森見登美彦[著](小学館)

5位『祐介』尾崎世界観[著](文藝春秋)

6位『グローバライズ』木下古栗[著](河出書房新社)

7位『サイレント・ブレス』南杏子[著](幻冬舎)

8位『カエルの楽園』百田尚樹[著](新潮社)

9位『文学ムック たべるのがおそい vol.1』穂村弘他[著](書肆侃侃房)

10位『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』梶山三郎[著](講談社)

Amazon文芸書売り上げランキングより 集計期間11月6日~11月12日〉

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年11月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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