年末恒例ミステリランキングが続々発表! 気になる1位は?【文芸書・ベストセラー】

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 12月5日~12月11日のAmazonの文芸書売り上げランキングが発表され、第1位は米澤穂信さんの青春ミステリ〈古典部〉シリーズの最新作『いまさら翼といわれても』が獲得した。

 第2位は年末恒例のランキングムック『このミステリーがすごい! 2017年版』。第3位は第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの『コンビニ人間』となった。

 今年も発売された『このミステリーがすごい!』。週刊文春の「ミステリーベスト10」、原書房の「本格ミステリ・ベスト10」と並び年末の出版業界の風物詩となっている。今年の「このミス」1位に選ばれたのは同書を参照願いたい(表紙をよく見ると……)が、週刊文春の「ミステリーベスト10」はウェブ上でも発表されており、今週10位にランクインした『罪の声』が国内部門第1位に選ばれている。同書はグリコ森永事件をモデルにしたフィクション。フィクションでありながらノンフィクションのようなリアリティを持ち、実際の事件の真実もこのような顛末だったのかもと思わせる巧みな手腕が光る一冊だ。

1位『いまさら翼といわれても』米澤穂信[著](KADOKAWA)

 累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作! 誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ! 奉太郎、える、里志、摩耶花――時間は進む、わかっているはずなのに。〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。(KADOKAWAウェブサイトより抜粋)

2位『このミステリーがすごい! 2017年版』(宝島社)

 元祖、ミステリー&エンターテインメント・ランキングBOOKの決定版!「ハズレなし」と絶大な信頼を誇る2016年の国内&海外新作ミステリー小説ランキングをはじめ、過去のすべての短編を対象にした、「オールタイム・ベスト海外短編ミステリー ベストテン」を発表。超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、人気コンテンツも充実。(宝島社ウェブサイトより)

3位『コンビニ人間』村田沙耶香[著](文藝春秋)

 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて……。現代の実存を軽やかに問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。第155回芥川賞受賞。(文藝春秋ウェブサイトより抜粋)

 Book Bangでは写真家の長島有里枝さんと、文芸ジャーナリスト佐久間文子さん、書店員さんによる書評が掲載されている。

長島有里枝さん(写真家)レビュー
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異質な自分をめぐって
社会生活のあらゆる場で、自分が「異質」だと思い知らされているのに、自分のなにが「悪い」のかはいつまでたってもわからない。芥川賞に決まったこの作品の主人公を通して、見えてくるのは自分にも馴染(なじ)み深い、そんな世界だ。…
https://www.bookbang.jp/review/article/516453
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佐久間文子さん(文芸ジャーナリスト)レビュー
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ひっそり異議を唱える芥川賞受賞作『コンビニ人間』
「コンビニ人間」と聞いて、あなたはどういう人間を想像するだろう。他人に都合よくつかわれる人? いつもコンビニにいる人? それともコンビニのご飯ばかり食べている人だろうか。
 本書の主人公、三十六歳独身の恵子はそのいずれにも当てはまる、べテランコンビニ店員である。一つの店舗に十八年という勤続期間の長さは「コンビニのバイト」というどこの街にもいる透明な存在に特別な重みを与え、バイト仲間や学生時代の友人からの「なぜ?」という質問を誘発してしまう。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517103
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渕書店さんレビュー
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「人生それぞれ。何が悪い?ゴーゴー!!」
主人公の周囲に対する冷めた温度感は読者を妙に安定させる。清々しくて心地いい。社会学的見地から読めばまた別の読みかたも生まれるのであろうがそんな読み方はしなかった。彼女の生きざまを「障害」とみる見方もあるし、彼女の周囲はそう考えるわけだが――。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517515
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 4位以下は次の通り。

4位『三鬼 三島屋変調百物語四之続』宮部みゆき[著](日本経済新聞出版社)

5位『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』梶山三郎[著](講談社)

6位『i(アイ)』西加奈子[著](ポプラ社)

7位『マチネの終わりに』平野啓一郎[著](毎日新聞出版)

8位『カエルの楽園』百田尚樹[著](新潮社)

9位『芸人迷子』ユウキロック[著](扶桑社)

10位『罪の声』塩田武士[著](講談社)

Amazon文芸書売り上げランキングより 集計期間12月5日~12月11日〉

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年12月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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