日本の近代批評の創始者・確立者として大きな足跡を残した小林秀雄は、深い思索と歯切れのよい文章で“人生の教師”としても仰がれ慕われました。その小林秀雄の主要な作品を順次取り上げ、小林秀雄とともに人生を味わっていく集いです。
ご案内は、編集担当者として小林秀雄にじかに接していた新潮社の元編集者、池田雅延です。前半50分は各回の対象作品について池田がお話しします。後半40分は出席者全員での茶話会とし、毎回la kaguカフェがご用意するお茶とお菓子をお楽しみいただきます。池田が質問にお答えしたりしながら、座談の名手でもあった小林秀雄をより身近に感じるひとときを過ごします。
「小林秀雄と人生を読む夕べ」の第5シリーズ<歴史と文学>の第4回は「私の人生観」(新潮社刊「小林秀雄全作品」第17集所収)を取り上げます。
この作品は昭和24年(1949)秋、小林秀雄47歳の10月に刊行された講演録ですが、内容は講演録というにとどまらず講演文学と呼びたいほどの綿密さで、小林秀雄の代表作のひとつに数えられています。
タイトルは「私の人生観」ですが、人生というものを私はこう観ていますと手際よく説明するのではありません。「観」という言葉はどういう歴史をもっているかをつぶさに問い、京都高山寺の明恵上人らの生き方に「観」の現れを見ていって、「観」は「心眼」に近い、歴史も人生も「見」ではなく「観」で観なければ見えてこないと言い、剣豪宮本武蔵が残した言葉「我事に於いて後悔せず」は、武蔵ののっぴきならない人生観であると同時に生き方の極意だと語る結末は圧巻です。
ぜひお集まりください。
■日時:2017年1月19(木) 18:50~20:30
■会場:la kagu(ラカグ)2F レクチャースペースsoko
■参加方法:http://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01j69vyks6hp.html
*日程と味読作品 作品名末尾の( )内は新潮社刊「小林秀雄全作品」の所収巻
2016年10月20日 満洲の印象(11)<終了>
2016年11月17日 事変の新しさ(13)<終了>
2016年12月15日 歴史と文学(13)<終了>
2017年 1月19日 私の人生観(17)
2017年 2月16日 年齢(18)
2017年 3月16日 対談・歴史について(28)☆いずれも各月第3木曜日、時間は午後6時50分~8時30分を予定していますが、やむを得ぬ事情で変更する可能性があることをご了承ください。
小林秀雄(こばやし・ひでお)
明治35年(1902)4月、東京に生れる。昭和4年(1929)27歳の夏、「様々なる意匠」によって文壇にデビュー、以来ほぼ半世紀、日本の近代批評の創始者、確立者として歩み続けた。昭和42年11月、文化勲章受章。昭和58年3月死去、80歳。
池田雅延(いけだ・まさのぶ)
昭和45年(1970)、新潮社に入り、「本居宣長」をはじめとする書籍の編集を通じて小林秀雄の肉声を聞き続けた。小林亡き後も第5次、第6次「小林秀雄全集」を編集、第6次全集では本文を新字体・新かなづかいで組み、全作品に脚注を施すなどの新機軸を打ち出した。
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