女優の杏 オーディションとコンクールの違いを語る

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。1月22日の放送で杏さんは科学技術の光と闇を描いた一作を紹介した。大倉さんは第156回直木賞受賞作『蜜蜂と遠雷』を紹介した。

■原発事故を

 杏さんは「輝きも持っているが冷たさも持っている」と『光炎の人』木内昇[著](KADOKAWA)を紹介した。同書は日露戦争開戦前夜の明治が舞台。貧しい農家で生まれた少年が働き始めた工場で機械の能率の良さに魅入られる。都会に出た少年は電気を使った機械が世の中を変えると信じ、独学で研究をはじめる。当時電気はまだ「よくわからない見えない力」程度の認識でしかなく、人々はそこに夢や希望を抱くと同時に一抹の不安を感じていた。少年の純粋な希望は社会の要請と自身の野望により変貌し暴走してゆく。立身出世に潜む光と闇、技術のもつ功と罪を圧倒的なスケールで描いた一作だ。

 著者の木内さんは「本の旅人」2016年9月号のインタビューで、科学技術と戦争について以前より考えていたが、東日本大震災で起きた原子力発電所の事故を受け「(原発は)電気を供給して私たちの生活を楽にしてくれるもので、誰もがその恩恵にあずかってきました。けれど、ああいう途方もない事故が起きると、人々の暮らしを根こそぎ奪ってしまう。それを目の当たりにしたとき、技術や技術者の責任の取り方について改めて考えさせられました。」と述べ、震災を経験し「自分の考えがより深まった気がします」と語っている。

 杏さんは「どうなるんだっていうのが最後の1ページまでわからない。ほぼほぼ読み終えるなって家で読んでいて『どうその本?』と言われて『ちょっと待って! 何も言えないから待って』みたいなそういう本です」と家人とのやりとりを明かしつつ解説した。また先端技術を追い求める技術者の「業みたいなものを感じました」と感想を語った。

■音楽に対する姿勢が変わります!

 大倉さんは「全然知らない曲が全部天使の奏でる音楽に聞こえてくる」と『蜜蜂と遠雷』恩田陸[著](幻冬舎)を紹介した。同作は世界的な注目を集めるピアノコンクールが舞台。世界各国の予選を勝ち抜いた個性豊かな天才たちが集まり繰り広げられる群像劇だ。魅力的なキャラクターとドラマチックな展開で読者の心を最後まで掴んで離さない。大倉さんも「読み始めたら寝られなくなってしまって。もうあっという間に読みました」とコメントした。

 音楽を文字だけであらわすという難題に挑戦した同作。大倉さんは「(知らない曲でも)音楽が本当に聞こえてくるイメージ。こんなことができるんだ」と驚き「下手すると人生変わります! 音楽に対する姿勢が変わります! これは読んでほしいなあ」と力強く薦めた。

■オーディションとコンクールの違い

 またコンクールの緊張感が描かれていることから、大倉さんはモデルや女優としてオーディションを経験して来た杏さんに「毎日がコンクールみたいなもの?」と質問。それに対し杏さんは「オーディションとコンクールは違いますよね。コンクールは“良い・悪い”だけどオーディションは“合う・合わない”なので」とプロならではの違いを解説した。

 3週連続ゲストの作家・営業コンサルタントの和田裕美さんは『大阪人の格言: 苦しいときこそ笑わなアカン!』小杉なんぎん[著](徳間書店)を紹介。また八重洲ブックセンター上大岡店の平井真実さんが『吉野朔実は本が大好き 吉野朔実劇場 ALL IN ONE』吉野朔実[著](本の雑誌社)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。またradikoのタイムフリー機能を使い、過去1週間以内の放送を聴取することもできる。聴取はradikoのスマートフォンアプリや下記のURLから。

http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20161218000000

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年1月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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