逆転の大中国史 ユーラシアの視点から

逆転の大中国史 ユーラシアの視点から

著者
楊 海英 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163905068
発売日
2016/08/11
価格
1,705円(税込)

内容紹介

視点を北京からユーラシアに移す。歴史は違って見えてくる。

序 章 中国の歴史を逆転してみる

日本人は、中国の歴代王朝を暗記し、夷狄を討つため辺境の地に赴任する兵
士の漢詩をまなぶ。しかし、じつは、夏かから現在の中国まで一気通貫に現在
の中国に歴代王朝があったかのような史観は間違っている。北京から世界を
観るのではなくユーラシアから中国大陸をみると世界はちがってみえてくる。

第一章 「漢民族」とは何か

「漢民族」という「民族」が古代からいて、黄河を中心に文明を周辺部にひろげ
ていった、と現在の中国でも日本でも信じられている。しかし考古学的、言語
学的な証拠によれば、そもそも「漢民族」とよべるような人びとはいなかった。
ユーラシアに興った諸文明が黄河流域に移動してくる。

第二章 草原に文明は生まれた

紀元前十世紀の中原地区に、殷周王朝が栄えていたのと同じ時期、シベリア
やモンゴルなどのユーラシア東部には、青銅器を鋳造する冶金文明が生まれ
ていた。ユーラシアの青銅器文明は紀元前三千年前まで遡ることができる。
さらに時代を遡った草原の遺跡に、古代遊牧文明が残した謎の鹿石がある。

第三章 「西のスキタイ、東の匈奴」とシナ道教

万里の長城は、「漢人」の文明をよく現している。城壁で囲った土地に縛ら
れる文明だ。その外にあった遊牧文明は移動する文明だ。その先駆者ともい
えるのが、西のスキタイ、東の匈奴だった。シャーマニズム的な価値観の遊
牧文明と対照的な形で、「漢人」たちは「現世利益」の道教にのめりこむ。

第四章 唐は「漢民族」の国家ではなかった

現代中国の新疆ウイグル自治区やチベット自治区でなぜ、大規模な抗議運動
が二一世紀になってもしばしば発生するのか。ウイグル帝国とチベット帝国
と唐が鼎立していたユーラシアの歴史をいま一度振り返る必要がある。しか
し、唐ですら、そもそも「漢民族」の国家ではなかったのである。

第五章 三つの帝国が鼎立した時代

現在の中国の歴史教育では唐が九〇七年に滅亡したあと、混乱の五代十国時
代をへて「漢民族」による「宋」が再び中国を統一したことになる。しかし、
ユーラシア全体に視点を移すと、この時代は、モンゴル系の「遼」、チベッ
ト系の「西夏」、「宋」の三つの王朝が鼎立していた時代ということになる。

第六章 最後のユーラシア帝国、清

ハーンを頂いた大帝国「元」は一三六八年「漢人」朱元璋に滅ぼされ「明」
が建国。ユーラシアの人々は明のリーダーを皇帝と呼び「ハーン」と呼ばな
かった。17世紀、「明」にとってかわった満洲人の国「清」のリーダーは、遊
牧社会の伝統にそって玉璽をゆずりうける儀式をへて、ハーンを

データ取得日:2024/04/25  書籍情報:JPO出版情報登録センター
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