鉄幹と文壇照魔鏡事件

鉄幹と文壇照魔鏡事件

著者
木村 勲 [著]
出版社
国書刊行会
ISBN
9784336060259
発売日
2009/06/21
価格
2,420円(税込)

内容紹介

明治34年(1901)春、文壇の寵児・与謝野鉄幹を、女性・金銭関係から激しく非難する『文壇照魔鏡』が刊行された。明らかにプロの筆だが、著者・発行所などすべて偽名とすぐ判明。だが、多くのメディアが同調的立場から一斉に鉄幹批判を展開した。明治文壇史上の著名な怪事件となる。一年前、鉄幹が始めた「明星」は、アールヌーボー調の装丁に晶子・山川登美子らの恋歌を前面にヒットし、先行の文芸紙・誌を凌ぐ急伸を見せた。その絡みから犯人捜しとして語られ、複数人の名が取りざたされてきた。
本書は跡付け、動機も解明ーー 一個人の情念が一つの時代相さえ容易に作り出す、新たな社会的道具が力を見せつけた。意外にも事後に心の傷を引きずるような行為者と、早い死の床に迫りくる魔的なものを聞きながら作歌し続けた、知られざる真の被害者の姿が・・・・・・。メディア時代の幕開けに生じた一件が現在に示唆を与える。明星史の再検討でもある。

データ取得日:2024/04/13