評伝・河野裕子
たつぷりと真水を抱きて
内容紹介
人気歌人の燃えたぎる生涯
平成の与謝野晶子とも譬えられ、恋や家族を高らかに歌い上げた歌人が他界したのは二〇一〇年八月。だが没後「河野裕子短歌賞」が創設されるなど、その評価はますます高まっている。
夫の永田和宏や娘の永田紅などによって、家族の肖像は多く明らかになっているが、今回その息子が初めて母の生涯を丹念に描いた。
誕生から幼少期を過ごした熊本時代、精神を病みながら作歌に目覚めた青春時代、永田和宏との出会いと結婚、多くの引っ越しを重ねながら子育てに勤しみ、短歌にも磨きがかかった時代、アメリカでの生活や晩年の闘病、そして最期……。
これまで未発表だった日記や、関係者への取材を通して明らかになる歌人の日々から、著者は新たな作家像を浮かび上がらせる。精神を病みながらも、同姓だった無二の親友と築いた文学的信頼関係。しかも彼女の自死。また最期を看取りながら病床で一首一首を口述筆記した様子は、読む者を深い感動へと導いていく。
対象への距離感と親子の親密感とがみごとに融合した、評伝文学の傑作である。
データ取得日:2024/04/24
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