温泉の平和と戦争

東西温泉文化の深層

温泉の平和と戦争

著者
石川 理夫 [著]
出版社
彩流社
ジャンル
社会科学/民族・風習
ISBN
9784779121791
発売日
2015/11/02
価格
2,200円(税込)

内容紹介

湯浴みは心身の疲れを癒す!
温泉は「アジール」だ。
すなわち「避難所、憩いの場、聖域」なのだ。

古代ギリシアでは、各ポリスの神殿が典型的アジールと認められていた
ことから、その言葉の持つ意味が想像できる。アジールという概念は
「平和の場」とされた浴場、湯屋、さらには温泉と深くかかわっている。
古代ローマ共和政時代から帝国時代にかけて
公共の浴場が市民の娯楽・保養の場として生活に欠かせなくなっていた。
遠征先で温泉を見つければ、先住民がすでに利用していた温泉地を
征服した後、駐屯兵らの慰安と健康のために立派な浴場を設けた。
ローマの入浴慣習はイスラム社会に引き継がれ、
今も日常生活に定着している浴場文化の基である。
キリスト教徒も十字軍遠征を通じ、浴場の価値を再認識し、
ヨーロッパ社会に環流させた。
共同浴場には、民間浴場主が経営していた街の風呂屋のほかに、
農民・村人が共同で費用と労力をかけてこしらえた浴場があった。
風呂の用意が整うと呼び声が周囲に響き渡った。
体をきれいにするだけでなく、魂を清める働きを持つと考えられたのだった。

データ取得日:2024/04/15  書籍情報:JPO出版情報登録センター
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