【話題の本】『孤独のグルメ2』久住昌之著、谷口ジロー作画
[レビュアー] 永井優子
■「おひとりさま」女性にも広がる人気
「慌てるな。心と胃袋がつんのめってるぞ、俺!」。テレビ東京系で放映中のドラマを先に見たので、主人公のせりふは俳優・松重豊の声で響いてしまう。
輸入雑貨商を営む井之頭五郎が、1人で食事をするシーンでほぼ構成される。勘と経験を頼りに店に入り、周囲のテーブルも観察しつつメニューを決める。うっかりイモ尽くしになったりするのもご愛嬌(あいきよう)。注文は決断の連続で、胆力が試される。「ハードボイルド・グルメマンガ」と銘打つゆえんだろう。ネットの事前検索では味わえない、一期一会のすがすがしさに満ちている。
『週刊SPA!』の不定期連載を集め、18年ぶりに待望の第2巻が刊行された。舞台となった名店を紹介するガイド本『孤独のグルメ巡礼ガイド2』も同時発売。既刊の第1巻(現在は文庫版、新装版で入手可能)およびガイド本と合わせ、電子書籍、海外版(フランス、イタリア、中国など10カ国)も含めたシリーズ累計132万部に達している。
『SPA!』読者の30~50代男性に加え、「おひとりさま」の女性にも人気が広がっているようだ。扶桑社特設サイトで第2巻第1話が無料公開されている。(扶桑社・920円+税)
永井優子