『深海でサンドイッチ』平井明日菜、上垣喜寛著

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『深海でサンドイッチ』平井明日菜、上垣喜寛著

[レビュアー] 産経新聞社

 海洋研究開発機構の調査船「しんかい6500」が深海へ潜航するとき、乗組員が持っていく船内食を作っているのは支援母船「よこすか」の司厨(しちゅう)部。普通の弁当では両手がふさがってしまうので…。

 船の台所で働く人々の生活を追ったルポルタージュだ。市販の冷凍食品は使わない。パンだって船内で焼く。みえてくるのは誠実な料理人の姿と、受け継がれてきた「船上の食文化」の豊かさだ。乗組員全員の食事を一斉に準備する段取り、長い航海で生野菜を保存するノウハウ、荒天に対する備えなど、普通の料理人とは違ったエピソードも読みどころ。(こぶし書房・1800円+税)

産経新聞
2015年11月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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