『陽気なギャングは三つ数えろ』
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『陽気なギャングは三つ数えろ』伊坂幸太郎著
[レビュアー] 産経新聞社
〈「さて、みなさん」銀行のカウンター、整理券を発行する機械の上に片足をかけた響野(きょうの)が喋(しゃべ)り出す〉。人気シリーズの9年ぶりの新作は、余裕綽々(しゃくしゃく)の銀行強盗シーンで幕開け。話術の達人響野、スリの名人久遠(くおん)、どんな嘘でも見抜く成瀬(なるせ)、正確な体内時計をもつ名ドライバー雪子(ゆきこ)。4人組の悪党たちは、雲隠れしたアイドル女優をめぐる騒ぎに巻き込まれ、その正体に気づいた記者に追及されるハメに。対抗するために相手の弱点を探ろうとするが、トラブルが続発。次第に追い詰められて…。飄々(ひょうひょう)とした語り口がさえるコミカルな悪漢小説(ピカレスク)。(祥伝社・840円+税)