【児童書】『チャーちゃん』保坂和志作、小沢さかえ画

レビュー

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チャーちゃん

『チャーちゃん』

著者
保坂, 和志, 1956-小沢, さかえ, 1980-
出版社
福音館書店
ISBN
9784834082036
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

【児童書】『チャーちゃん』保坂和志作、小沢さかえ画

[レビュアー] 篠原知存(ライター)

 ■「死」の新しいイメージ

 最初のページは、みずみずしい草木のアップ。モノローグがはじまる。

 〈ぼく、チャーちゃん〉

 2ページ目、草原に座っている猫の後ろ姿。物語が立ち上がる。と同時に、その言葉に驚かされる。

 〈はっきり言って、いま死んでます〉

 はっきり言われても。大丈夫か。いや死んでるんだから大丈夫じゃないか…。ドキドキしつつ、ページを繰る。軽やかなことばと、明るくやわらかな絵が、「死」ということについての、新しいイメージを紡いでいく。温かい気持ちになっていく。

 ふと、祖父が急死したときのことを思い出した。幼かった私は事実を理解できないまま、しばらく過ごした。悲しみはなく、もう会えないという違和感をもてあましていた。いま、小学1年の長男が、毎日のように「死にそう」とか「死んだ」とか口走っている。どんなイメージなんだろう。この本を一緒にながめてみよう。(福音館書店・1400円+税)

 篠原知存

産経新聞
2015年11月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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