【書評】『丘の上の綺羅星』嘉門達夫著
[レビュアー] 産経新聞社
「鼻から牛乳」「替え歌メドレー」…そんなコミックソングで知られる著者が、ラジオ番組「ヤングタウン」をつくって数々のスターを生み出したプロデューサー、渡邊一雄氏との縁を軸に、自身の半生を小説仕立てで描く。落語家に弟子入り、番組のレギュラーに起用されたが師匠とのすれ違いからまさかの破門。自分探しの旅に出て…。夢を追う熱さに、笑わされ、泣かされ、いつの間にか励まされている。〈丘の上の放送局。僕らはその丘を目指し、丘の上で綺羅星(きらぼし)になろうと思った。輝けると信じていた〉。コミックでも懐メロでもなく、聞こえるのはブルース。(幻冬舎・1400円+税)