『人魚の眠る家』東野圭吾著
[レビュアー] 産経新聞社
私の娘は生きているのか、死んでいるのか-。和昌と薫子は離婚を決めて別居中の夫婦。長女の小学校受験が終わるまでは、良き夫婦、良き両親を演じよう。お互いにそう割り切っていたが、その娘が溺れて病院に搬送され、医師が告げる。〈もしお嬢さんの脳死が確認された場合、臓器を提供する御意志はありますか〉。でも、穏やかな寝顔を見ていると、魂がもうここにはない、とは考えられない。「娘は生きている」という妻の思いに応え、退院させて、最先端の科学技術を駆使した延命治療を続けるのだが…。「命」の意味に真っ正面から向き合う家族の物語。(幻冬舎・1600円+税)