【児童書】『かようびのドレス』

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

かようびのドレス

『かようびのドレス』

著者
ボニ・アッシュバーン [著]/ジュリア・デーノス [イラスト]/小川 糸 [訳]
出版社
ほるぷ出版
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784593505807
発売日
2015/11/20
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【児童書】『かようびのドレス』

[レビュアー] 横山由紀子

 

■お気に入りだから…

 お気に入りの洋服が、成長とともに小さくなって着ることができなくなる。捨てるのはなんだか悲しい。そんな時、どうするか-。

 主人公の女の子は、ピンクのドレスが大のお気に入り。大好きな火曜日に身に付けてはご機嫌だ。ところがとうとう、ドレスの丈が短くなってしまった。もう着られなくなると思うと、涙がこぼれる。

 「逆転の発想が大事よ」。母親は、思い切ってドレスにハサミを入れ、ミシンをかけてシャツへと変身させた。女の子は大喜びだ。やがて、きつくなった袖を切り落として、タンクトップに。スカート、スカーフ、靴下、髪飾りへと次々と形を変えながら、その成長に寄り添ってきた。最後は、犬にいたずらされてボロボロになった髪飾りのかけらで、女の子はドレスの絵を完成させる。

 愛着のあるものを形を変えて、最後までそばに置く喜び。それが本当の“お気に入り”なのだろう。優しいタッチと豊かな色彩で、数々のおしゃれな着こなしも提案。おしゃまな女の子におすすめしたい一冊だ。(ボニ・アッシュバーン文、ジュリア・デーノス絵、小川糸訳/ほるぷ出版1400円+税)
 
 横山由紀子

産経新聞
2015年12月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク