真田忍者、参上!: 隠密伝奇傑作集 [編]末國善己

レビュー

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真田忍者、参上!: 隠密伝奇傑作集 [編]末國善己

[レビュアー] 縄田一男(文芸評論家)

 来年のNHK大河ドラマが「真田丸」と決まった時点で、書店には便乗本があふれている。

 だが、その便乗本を逆手にとって滅法面白い一巻をつくるのがアンソロジストの腕の冴え。

 その点、末國善己編の『真田忍者、参上!』は“隠密伝奇傑作集”と副題がついているだけに物語性の躍動がたまらない。

 柴田錬三郎、山田風太郎はなんのその、伝説の伝奇SF作家・宮崎惇の登場に至っては正に落涙もの。

 その上、池波正太郎は当たり前だが、嵐山光三郎に田辺聖子とは驚くばかり。

 編者の目くばりがよく行き届いた一巻で、絶対、大河ドラマより面白いですぞ。保証します――。

新潮社 週刊新潮
2015年12月3日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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