『砂漠の悪魔』
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砂漠の悪魔 ［著］近藤史恵
［レビュアー］ 若林踏（書評家）
大学生の広太は友人の夏樹が好きだった女性と密かに関係を持つ。その結果、ショックを受けた夏樹は自殺してしまう。夏樹の死の原因が広太にあることを知った暴力団員は広太を脅迫し、ある“バイト”のために彼を中国へ向かわせる。失意のままに中国を訪れた広太だったが、雅之と名乗る不思議な青年と出会い、大きく運命が変わる。
絶望に堕ちた若者が見知らぬ大地を渡り歩くことで生まれ変わる、青春冒険小説とでもいうべき魅力を持った作品だ。ドロドロとした学生の日常話が、まさかこれほど広大な物語になるとは誰も予想がつかないだろう。題名の意味が判明するラストに唖然とする。
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2015年12月24日号 掲載
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