『改訂新版 旧暦読本』
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【話題の本】『改訂新版 旧暦読本』岡田芳朗著
[レビュアー] 産経新聞社
■日本人の暦好きを実感
落語「時蕎麦(そば)」の与太郎は、「今なんどきでェ?」と尋ねてなぜ損をしたのか? 日本の古典文学や芸能は、旧暦を理解しなければ分からないことも多い。
本書は、旧暦と新暦の違いという基礎知識から、二十四節気と七十二候、十干と十二支、六曜と九星、雑節と五節句まで、暦の基本的な仕組みを解説。地方暦やアジア・ヨーロッパの暦、月と太陽、時刻制度と潮の満ち引きなどの天文学的知識も読み解く。
平成18年に刊行され、増刷を重ねてきたが、巻末の新暦・旧暦対応表(28~32年分)を刷新するなど、データを更新し改訂新版とした。
著者の岡田芳朗氏は「暦の会」会長を務めた旧暦研究の第一人者。『伊勢暦』をはじめとする地方暦、絵入りの暦など著者所蔵の貴重図版も多く掲載されており、日本人の暦好きを実感できる。
創元社の松浦利彦さんは、「旧版刊行は旧暦ブームが始まったころ。岡田先生は、事実誤認や気分で書いたエッセー本も多いと憂いておられた。暦法を科学的に理解して楽しもうという趣旨でコンパクトに書いてもらった」という。
岡田氏は一昨年に逝去したが、同社刊の『年中行事読本』共著者の松井吉昭氏が監修して改訂新版刊行にこぎ着けた。(創元社・2000円+税)