『ニュートリノで探る宇宙と素粒子』 梶田隆章著

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ニュートリノで探る宇宙と素粒子

『ニュートリノで探る宇宙と素粒子』

著者
梶田 隆章 [著]
出版社
平凡社
ジャンル
自然科学/物理学
ISBN
9784582503050
発売日
2015/11/24
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ニュートリノで探る宇宙と素粒子』 梶田隆章著

[レビュアー] 柴田文隆(読売新聞社編集委員)

 梶田さんは素粒子ニュートリノに質量があることを突き止め、昨年のノーベル物理学賞を受賞した。この不思議な素粒子のことを教えてもらうには最適の人だ。

 ニュートリノは電気的に中性で、ほかの物質とほとんど反応せず観測も難しい。だが私たち人類と無関係などではない。太陽から飛来するニュートリノだけでも1平方センチ当たり毎秒660億個が地球に降り注ぎ、私たちの体を貫通している。地球にエネルギーを与えてくれる太陽も、この素粒子がなかったら核融合反応は点火せず、地球生命が誕生することもなかった。

 「はじめに」の10ページを読むだけで、素粒子と宇宙の知識が大筋ゲットできる。この圧縮度はすごい。読み進むと難解な部分もあるが、それは素粒子や宇宙そのものの不思議さなのであって、記述は平易。「科学の知識があまりない人にも直観的に理解できること」という著者の狙い通りの入門書になっている。

 ニュートリノが大量に作られるのはビッグバン、超新星爆発の時だ。ニュートリノには宇宙、物質の謎を解く豊かな情報が詰まっている。

(平凡社、1800円)

読売新聞
2016年1月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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